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【少年野球指導者のひとり言】集中と弛緩

2016.2.9
学者さんによって諸説ありますが、人間の集中力は15分程度と言われます。そして集中する時間が長ければ長い程、集中を解いた後に再集中することが難しくなるというのが概ねの見解です。

野球の試合は学童で80〜90分、中学だと90〜100分、高校生だと120〜150分程度です。試合中ずっと集中することは難しく、大事な場面で持てる力を出し切るためには「程よい弛緩(=緊張を解く)」と「素早い再集中」の切り替えが必要です。その中で「弛緩」はそれほど難しくはありません。圧倒的に難しいのは「再集中」です。

素早く集中するためには2つの要素が必要と言われます。

①簡単に始められる
②持続する仕組みがある

この2つを兼ね備えているものとして代表的なのは「ゲーム」です。スイッチを入れれば簡単に始められるし、得点が加算されるといった「ご褒美(=持続する仕組み)」があるので、子どもはゲームにのめり込みます。これと同じ仕組みを導入すると素早く集中を高められます。

具体的には①②に対して下記が有効だと思います。

①プレー前の「簡単なルーティーン」をつくる
②難易度の低いものから順に要求していく。できたら誉める。

例えば打席に入る前に「3回素振りして、打席に入ったら大きな声で『こいっ!』と声を出す」というルーティーンを課して、それができたら「いい声だ!いけるぞ!」と誉める。これだけでも選手の集中力は上がります。そして「打席に入ってしまったら叱らない」。叱ると緊張感は高まりますが、本来やるべきことに対する集中力は落ちる傾向があります。「叱られる」「交代させられる」など他のことが気になってしまい、本来やるべきことにのめり込めないからだと思います。

※Facebookページ「少年野球指導者のひとり言」より転載。


著者:廣川 寿(ひろかわ ひさし)
愛媛県出身。松山北高校時代に投手として選抜高校野球(春の甲子園)に出場。甲南大学時代は投手として阪神大学野球連盟の数々の記録を塗り替える。社会人野球まで投手として活躍。自身の息子が少年野球チームに入部したことをきっかけに学童野球のコーチとなる。現在は上場企業の管理職として働く傍ら、横浜港北ボーイズのコーチとして「神奈川NO.1投手の育成」を目標に掲げ、中学生の指導に情熱を注ぐ。


 


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