
監督として初の甲子園となった2015年夏は2勝をあげて3回戦に進出。キャプテンの伊藤とエースの上野翔太郎(元三菱重工East)は大会後のU18侍ジャパンにも選ばれるなど、名門復活を強く印象付けた。しかしその後も高橋監督の試練は続く。監督して2度目の甲子園となった2017年夏は初戦で広陵に逆転負けを喫し、6回途中までほぼ完璧な投球を見せていた先発投手を降板させた采配に対して批判が集中したのだ。この時のことについても話を聞いた。
「あの年は継投で勝ってきたチームでしたから、愛知大会と同じ戦い方を甲子園でやった結果の逆転負けでした。先発の磯村(峻平・現トヨタ自動車)があのまま最後まで行けるとは今でも思いませんけど、タイミングなどについては甲子園での経験が足りなかったのだと思います。大観衆の前でいつも以上の投球ができていましたし、継投したことでスタンドからも『ここで交代させるの?』という雰囲気もありました。
継投した時に中井監督がベンチで笑ったんですよね。相手にしてみればその継投が助かったということですし、笑顔が出るような采配をしてしまった。中井監督の笑顔を見た時に嫌な予感があったことも確かです。5回が終わった時に磯村に『限界か?』と聞いたら、本人は『もうぼちぼち(そろそろ)です』と答えたんですね。それもあって6回の途中で交代させたんですけど、今思えば違う聞き方もあったのかなと思っています。それくらいあの日は良いピッチングでしたし、大観衆の前で自分の限界を超えられるチャンスもあったかもしれません。
選手の様子を見ながらどんな声掛けをすべきか、そういうことも考えさせられました甲子園と地方大会は別物だと思い知らされました」
広陵はこの後も勝ち進んで準優勝を果たしている。それだけのチームを相手に中盤までは完全に圧倒していただけに、この逆転負けはかなりの悔しさがあったはずだ。この経験をバネに2019年には更に強いチームを作って全国の舞台へ挑むこととなるが、そこからの話は後編で紹介する。(取材・文・写真:西尾文典)
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