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【大分舞鶴】成長した“個”を束にして、強豪私学に立ち向かう

2022.12.16

2022年春に悲願の甲子園初出場を果たした大分舞鶴高校。夢舞台の初戦の相手は浦和学院。強豪私学を相手に真っ向勝負で挑んだ大分舞鶴だったが、何もできずに敗れた。全国で感じた力の差を埋めるべく、この秋から新たな組織強化に取り組んでいる。


立ちはだかる強豪私学の壁

センバツ出場を確実なものとした2021年秋のシーズンは、チーム打率・318を記録。九州大会初戦で対戦した大島高校の大野稼頭央(ソフトバンク)から2試合で5安打を放ち、通算・452と高打率を記録した3番・都甲陽希を中心に、要所で集中打を浴びせる勝負強い打線が出来上がった。

しかし、甲子園では大会屈指の左腕として注目された浦和学院・宮城誇南を前に、チーム全体で2安打に抑えられ完封で初戦敗退を喫してしまった。河室聖司監督が振り返る。
「冬の間も『昭和の日』を継続的に行なってきましたが、どうしても甲子園を意識してフィジカルよりも実戦練習の比重が大きくなってしまいました。秋に活発だった打線の勢いが失速し、ケガ人も続出。夏は完全に息切れしていましたね」



2022年夏は3年連続で決勝進出を果たすも、最後は秋に1点差まで迫った明豊に3-12と大敗。結局、この代は秋、春の県選手権、秋、夏と4大会の決勝で明豊と対戦するも、すべて準優勝に終わってしまった。


新たな組織強化


あらゆる面で、チームはさらなる成長を遂げねばならない。自身も初めての甲子園指揮を経験した河室監督は、2022年シーズン終盤になって新たな組織強化に乗り出した。まずは10月初頭に独自の体力測定会を実施。そこで弾きだされた数値をもとに、パワー強化、スピード強化、スキルアップ強化に取り組むグループを3班に分類したのである。

毎日の練習は班ごとに練習メニューを決める。「昭和の日」のメニューも、各班で決めさせているという。それぞれの班を束ねるのは日替わりのリーダーで、1年生にも順番が回ってくるシステムだ。練習メニューを決定し、練習そのものを指揮する機会が全部員に必ず訪れるため、気を抜くことが許されない。河室監督を中心とした指導者が練習の一例を提示することはあるが、その選択はすべてリーダーの判断に委ねられている。それでも生徒は楽をしようとはせず、河室監督の思っていた以上率先してハードなメニューに取り組んでいるらしい。
「甲子園や前後の九州大会を通じて“個”の部分は大きく成長してきたと実感しています。ただし、その個が集団にならないことには、チームとしての強さにはなりません。甲子園の上位チームは、言うまでもなく“個”が圧倒的です。しかし、それらが束になるからこそ強いのです」

12月には2度目の測定会を行ない、各班が目指したパワーやスピードといった弱点強化の成果をチェックする。その後、2月に行なわれる3度目の測定で成果が見られた者は実戦に移り、成果が上がらなかった者は継続してトレーニングを行なっていくという。


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