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大阪桐蔭を抑える理想のバッテリー像|田中秀昌監督(元・上宮/東大阪大柏原)【「絶対王者」に挑む大阪の監督たち】

2022.7.28

大阪桐蔭を抑える理想のバッテリー像



今、再び高校野球の指導者になったとすれば、甲子園に出るために、大阪桐蔭を倒すために、どういったチーム作りを考えるのだろうか。
「あくまで個人的な意見ですが、右投手は縦変化のスライダー、左投手はドロンとしたカーブが投げられるピッチャー。それにコントロール、緩急をうまくつけられるピッチャーは必要ですね。あとは(東大阪大柏原での)福山がそうだったように、野手出身でもピッチャーとしてのセンスを感じる子は、ピッチャーに転向させるのもひとつの手です。特徴としては高低をうまく使えるピッチャー。
そういうピッチャーとコンビを組めるキャッチャーもいてほしい。これという配球はないけれど、僕の理想では4番でキャッチャー、そして向こうっ気の強い性格がいいですね。向こうっ気が強い方が、ここ一番の場面でも引っ張っていけるという意味ですが、インコースばかりに投げられるのが強気というわけではありません。インサイドでも怖がらずに構えられる、ピッチャーがそういったところに投げる勇気を与えられるキャッチャーです。
右、左打者問わず、ストライクが取れなくてもインハイに投げられる。27個のアウトをすべて三振で取れるわけはないので、いかに打たせられるかでしょうね。ピッチャーを引っ張れるキャッチャー、バッテリーの補強を含めたセンターラインだけはしっかり固めていかなくてはいけないと思いますね。すごい中学生はなかなか獲得できなくても、けん制がうまいとか試合が作れるとかちょっとした良さを見抜くとか、適性を指導者がどう見ていくかも大事だと思います」

「各打者の軸がブレてないもんね。ああいうところを徹底できるのはさすがや」
そんなふうに、圧倒的な強さでこの春のセンバツで頂点に立った大阪桐蔭に感心する田中監督。

大阪桐蔭を決勝で破った夏から11年が経ち、大学野球界でしのぎを削り続けて年輪も増した。そんな田中監督が、高校野球の現場で再び大阪桐蔭と真っ向勝負をすれば、果たしてどんな展開になるのだろうか。大阪の野球を知り尽くす名将だからできる策略で、また高校野球ファンを唸らせてくれるのかもしれない。

田中秀昌(たなか・ひでまさ)

1957年3月16日生まれ。大阪市出身。上宮ー近大。91年8月より上宮の監督に就任し、93年センバツで全国優勝。01年に勇退後、03年に柏原(当時)の監督に就任し、11年夏に創部初の甲子園に導いた。14年4月より母校・近大の指揮を執る。


書籍情報

「『絶対王者』に挑む大阪の監督たち」
著・ 沢井史
竹書房
定価1600円+税



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