学校・チーム

大阪桐蔭を抑える理想のバッテリー像|田中秀昌監督(元・上宮/東大阪大柏原)【「絶対王者」に挑む大阪の監督たち】

2022.7.28

大阪桐蔭を倒さなければ甲子園への道が拓けない大阪で、「打倒!大阪桐蔭」に燃える9名の指導者に話を聞いた書籍「『絶対王者』に挑む大阪の監督達」(沢井史/竹書房)。この本の中から、かつて東大阪大柏原を率いて決勝で大阪桐蔭を倒した経験のある、近畿大学・田中秀昌監督の章の一部を紹介します。


強さの根底にある日頃の教育

高校野球の現場を離れた今は、夏の大阪大会の解説者として、第三者の立場で高校野球の現場を訪れることが多くなった。これまでは大阪桐蔭の普段の練習を見たこともなかったが、進学の関係もあり、グラウンドに足を運ぶことも増えた。
「練習を見ていても、基本的な練習を重視していますね。今の時代、例えば小学校でも運動会で能力に序列をつけないとか聞きますが、桐蔭はとにかく競争意識が高い。Aチームが打撃練習をしていて、Bチームが守っていても動きに遜色がない。高校で背番号2ケタだった子が大学で活躍することも多いですが、PLもそうでした。そういう選手の目を見たら分かります。毎日、高い意識でやっているから目の色が違う。ただ、特別な練習をしているわけではないんです。日々の練習から意識付けをしてきているから、グラウンドに立てば自然とそうなる。最近は夏前にグラウンドコートを着てマスクをつけて走る、みたいな昭和っぽい練習もやっていますけれど、そんな中でも基礎練習を大事にする。当たり前のことを当たり前にしている。それはすごく大事だと思うんです」

そこに西谷監督の人柄が加わり、選手を引きつける。大阪桐蔭のスカウト力に賛否を唱える声もあるが、それでも行きたいという中学生が全国に多いのは確かだ。
「情報収集力とか、素晴らしい手腕もあって、あれだけの選手が集まってくると思うんです。選手の能力は勝つために大事ですが、力量のある選手が入ってきても、まずは基礎練習の反復をさせる。野球ノートで選手との繫がりを大事にもされている。練習の合間に見せる選手の表情も、西谷監督はよく見ていますよ。僕がグラウンドに行った時も、赤ペンでマメに返事を書いているのを見かけることがあります。あとは試合でコールドスプレーを持っていく選手が多いのは、普段からの気づきを西谷監督や有友茂史部長が植え付けているからではないでしょうか。16、17歳くらいの高校生が自ら気づくことはなかなかできないですから、それは指導者の教えでしょうね。きっちり教育されているのを感じます」


PICK UP!

新着情報