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「高校野球監督がここまで明かす!投球技術の極意」清水央彦監督|県立大崎

2021.10.18

【投球腕の指導(右投手の右腕/左投手の左腕)】

1.トップは後頭部の後ろ → 時間軸の中心として先に決める

投球腕で重要視するのがトップだ。
「トップ=時間軸の中心です。トップが決まらなければ、ほかの動きをいろいろと修正しても、ずれが生じてしまう。だからこそ、先に作って、決めるようにしています」

いわば、投球フォームの基準とも言えるのがトップ。ここが決まっていれば、グラブハンドや下半身の動きを変えたとしても、フォームが大きく崩れることはない。

では、清水監督が考える理想のトップの位置とは?
「後頭部の後ろです。利き手がここに入ってくれば、ヒジが自然に上がり、いわゆる"ゼロポジション"を取りやすくなります」
「耳の横に持ってきなさい」という教えも聞いたことがあるが、「後頭部」との違いはどこにあるのか。
「耳の横では、どうしてもヒジの位置が低くなりやすい。低い位置から投げにいくと、ボールを押し出すようなリリースになってしまいます」

入学した当初は、正しいトップの形を覚えるために、後頭部に手を置いた状態からの正対キャッチボールを行う。正対で感覚をつかんだあとは、ピッチングと同様に体を横向きにしてボールを投げる。

トップを作ったときの手のひらの向きは自由。「上に向くのが理想ではありますが、特にこだわりはありません」と清水監督。ここまで型にはめると、腕の振りが鈍くなるピッチャーが出てきてしまうという。

2.動きの中でトップを通過する → トップで止まるのはNG

正対と横向きのキャッチボールで、トップの位置がわかってきたら次の段階に入る。
「テイクバックからリリースにいくまでの間に、一瞬でもいいので、後頭部の後ろを通過させること。トップを作ろうとして、動きが固まってしまうのが、一番良くありません。感覚的には、テイクバックからトップ、リリースにいくにつれて、動きが加速していくことが重要です」

実際にやってみるとわかるが、肩甲骨の可動域が狭いと後頭部の後ろにまで持っていくのが難しい。持っていけたとしても、ぎこちない動きになる。清水監督曰く、「トップを作ることと、肩甲骨の柔軟性を高めることはセット」。大崎高では毎日のアップで、太い縄を使った体操を取り入れている。肩甲骨を意識して、腕が耳に触るぐらい大きく、大きく回す。毎日行っていれば、肩甲骨の可動域は確実に広がっていく。ほかのメニューも動画で紹介しているので、ぜひチェックしてほしい。


続きは本書から(書籍では写真を交えてより詳しく紹介されています)。



清水央彦(しみずあきひこ)

1971年生まれ、長崎県出身。佐世保商業から日本大学へ。教員免許取得後、2001年より北松南高校(現・清峰高)野球部の部長兼コーチに就任。甲子園春夏計4回出場を果たす。2009年夏より佐世保実業監督を務め、2012年、2013年と2年連続で夏の甲子園出場。2017年に外部コーチとして大崎高校へ。2018年春より現職。2021年センバツ初出場へ導いた。

著者:大利実(おおとし みのる)

1977年生まれ、横浜市港南区出身。港南台高(現・横浜栄高)-成蹊大。スポーツライターの事務所を経て、2003年に独立。中学軟式野球や高校野球を中心に取材・執筆活動を行っている。『野球太郎』『中学野球太郎』(ナックルボールスタジアム)、『ベースボール神奈川』(侍athlete)などで執筆。著書に『中学の部活から学ぶ わが子をグングン伸ばす方法』(大空ポケット新書)、『高校野球 神奈川を戦う監督たち』『高校野球 神奈川を戦う監督たち2 神奈川の覇権を奪え! 』(日刊スポーツ出版社)、『101年目の高校野球「いまどき世代」の力を引き出す監督たち』『激戦 神奈川高校野球 新時代を戦う監督たち』(インプレス)、『高校野球継投論』(竹書房)、『高校野球界の監督がここまで明かす! 野球技術の極意』『高校野球界の監督がここまで明かす! 打撃技術の極意』(小社刊)などがある。2月1日から『育成年代に関わるすべての人へ ~中学野球の未来を創造するオンラインサロン~』を開設し、動画配信やZOOM交流会などを企画している。https://community.camp-fire.jp/projects/view/365384

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