企画

野球グローブを通じた社会貢献を。
秋田出身の野球人が語るグローブの未来

2021.7.11

野球のグローブを通じたSDGs活動を広めようと、都内にグローブの修理・リメイク専門店「Re―Birth」を展開しているのは、グローバルポーターズ株式会社だ。
2017年に同社を設立した代表の米沢谷友広さんは、秋田商で2000年夏の甲子園にも出場した元高校球児。「持続可能な野球界になるために貢献したい」という米沢谷さんの思いに、元ソフトバンクホークスの投手、摂津正さんも共感。摂津さんは秋田経法大付出身。ライバル校出身のふたりが、グローブや野球界の未来をテーマに対談した。


高校3年の夏は秋田商と秋田経法大付で夏の秋田大会決勝を戦っています。おふたりに面識はあるのですか?

米沢谷 私はもちろん知っていました。摂津さんを打って甲子園に行くのがチームの目標でしたから。摂津さんは私のこと知らないですよね?

摂津 当時、控え投手でベンチに入っていましたよね? 名前を聞いたら、『あ!』というのはありました。ライバル校だったので、パンフレットでいつもチェックしていましたし。名前は覚えています。

米沢谷 一応、大会でちょこちょこ投げていました。ちょこちょこですけどね(笑)。


早速ですけど、摂津さんは現役時代、グローブにどんなこだわりを持っていましたか?

摂津 ウェブはイニシャルの「S」をオリジナルでデザインしてもらって。あとは土手の部分ですよね。ここをしっかりしてほしいというのはよくリクエストしていました。

米沢谷 一番力が入る部分ですね?

摂津 やっぱり、投げるときに結構グラブを(強く)握るので。へたらないように。あとは深さですかね。(決め球の)シンカーはボールを指ではさむんですけど、(握りが)見えないようにしたいので。



ずっと同じ型のグラブを使っていたのですか?

摂津 僕はゼット社のグローブをずっと使っていたのですが、基本的に型は一緒でしたね。長さを少し変えたりとかはありましたけど、ずっとこの形を使っていました。大きさや形のこだわりや特徴は、人それぞれあると思います。

米沢谷 18年間ぐらいグローブ業界で仕事しているのですが、選手によって全然違いますよね。大きさ形も。最初はすごいびっくりしました。


子供の頃、初めて買ってもらったグローブは覚えていますか?

摂津 小学2年生ぐらいですかね。埼玉県浦和市で野球を始めたんですけど、父と近所のスポーツ用品店に買いに行きました。青いグラブでしたね。それもゼットでした。


そのときからずっとゼットを愛用されていたのですね。

摂津 一回社会人のときに別のメーカーを使ったりしましたけど、それ以外はずっとゼットを使っていますね。慣れてる、っていうのがありますよね。皮の質感とかも、メーカーによって全然違うので。


プロ野球選手は1シーズンで何個くらい使うものなんですか?

摂津 春季キャンプの時に、この色、この形で、と同じものを2、3個用意していただいて。そこから、一番手に馴染むやつを使っていくという感じ。合わなかったやつは練習用にします。




グローブ再生事業を始めようとしたきっかけは「大量廃棄」未来に残っていくグローブを一つでも多く増やしたい


1年使ったグローブは?

摂津 プレゼント用だったり、野球を始めたいという知り合いのお子さんとか、同級生とかにあげたり。グローブって高価ですからね。僕のでいいなら、まだ使えるから、使ってくれってあげちゃいます。

米沢谷 私がこの「Re―Birth=再生」という工房を開くきっかけがまさに今の話で。摂津さんみたいに誰かにあげたり、後輩に譲ったりというのがあればいいんですけど。大きな理由の一つは廃棄ですね。捨ててしまうという方が多いです。牛の皮という天然資源は長く使えるのに、捨てられていくっていうのをこれまで多く目の当たりにして。




― 蒲田店が1月、そして4月に二子玉川店もオープンしました。

米沢谷 グローブは年間で約100万個流通しているとも言われています。その中には先ほども述べたように捨てられたり、自宅で眠っているものもたくさんある。それを我々が回収させていただいたり、買い取りさせていただき、またきれいに使えるようにクリーニングして、除菌して、次のプレーヤーに繋いでいくようなことができれば、と思い事業を立ち上げました。


― 新品のグラブは5、6万円するものもありますよね。

摂津 野球ってそろえなければいけないものが多いですよね。グローブ、バット、スパイク……。買うものが多いので、なかなかはじめづらいスポーツなのかなと思います。

米沢谷 リバースでは1万5千円~2万円くらいでお客様に提供させていただいているので、「野球を続けたいけど、硬式用のグローブは高いから……」と諦めていた人も、また続けるきっかけにもしてもらえるかなと。資源を長く使っていけるように、というところを意識してサービスを展開しています。

摂津 プロでも野手はボロボロになるまでずっと同じグローブ使うんですよね。リメイクみたいなものができたら、さらに長く使えるんじゃないかな。あとは、高校まで野球をやっていたような人が、大人になった時に、昔のグラブを再生というか、もう一回使えるようにして。草野球をやろうとなったときに馴染みのグラブを使えたらいいですよね。

米沢谷 最近、高校時代とか大学時代とかに使っていたグローブを数年ぶりに持ってきていただいく、というようなお客さんも多いです。

摂津 道具に思い入れって絶対あるんですよね。そういう人って多いと思う。それは嬉しいことだと思いますよ。

米沢谷 グローブの値段が高くなり、野球を続けたくても続けられない環境に、どうしてもなってきている。その流れに少しでも歯止めをかけたい。少しでも野球界を「持続可能」なものにしていきたい。使い古しのグローブを捨てたり、倉庫に置いておくのではなく、再生してどんどん次のプレーヤーに回して、長く使われてほしい。こういった再生工房を広げていくことで、いい野球界を作っていければ。用具の面から私たちができることを広めていきたいと思います。

摂津 素晴らしいことですし、野球をやっていた人間としてはうれしいこと。自分としては、今でも小さい子に野球を教えることは多いので、そこでまずはしっかりと野球の楽しさを伝えていきたいと思います。





野球再生工房「Re-Birth 二子玉川店」

東急田園都市線・東急大井町線「二子玉川駅」徒歩4分に位置する野球グローブ再生工房を4月23日にオープン。新品グローブと高品質かつ低価格な再生グローブ(新古/中古/デザインリメイクグローブなど)の販売に加え、野球グローブの買取・再生・リメイクに特化した新しい野球グローブの専門店です。

スタッフは野球用品の販売・修理歴15年以上のベテランで、甲子園常連校のチームサポートをはじめ、これまで10,000個以上のグローブに携わってきています。グローブの湯もみや型付け、修理・メンテナンスなどグローブに関することはなんでもご相談ください。


[住所] 〒158-0094 東京都世田谷区玉川3-13-4 玉川134ビル3階
[アクセス] 東急田園都市線・東急大井町線「二子玉川駅」徒歩4分
[電話番号] 03-6281-8783
[メールアドレス] info@re-birth.jp
[定休日] 水曜日・木曜日
[営業時間] 平日12:00〜20:00 土日祝 11:00〜19:00
[ホームページ]https://www.re-birth.jp/

[Instagram]https://www.instagram.com/rebirth_tokyo/

[運営会社] グローバルポーターズ株式会社
[会社HP]https://www.global-porters.com/


(文・写真/編集部)


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