そのほとんどが、進学をせず就職の道を選ぶという千葉県立我孫子東高校野球部。高校で野球生活を終える人が多くを占める。高校3年生にとって、最後の大会を前に、部員たちは何を考え、感じているのだろうか。
部員たちが発信する、この夏に向けての手記
毎年激戦が繰り広げられる千葉県大会はもうすぐそこ。初戦を7月3日(7月5日現在、順延があり初戦は7月11日を予定)に控えた千葉県立我孫子東高校では、最後の追い込み練習が行われていた。前編では、坂本監督が日々部員たちに教えている、野球から学ぶ大切なことについて紹介した。坂本監督から共有された手記を読んで心を動かされた部員たちは、夏の大会に向け、何を想い、感じているのだろうか。我孫子東高校を代表し、選手3名、マネージャー2名から、手記を寄せてもらった。
我孫子東高校に誇りを持ち、それを伝染させたい(主将・稲員 遼/3年)
自分は小学1年生の頃から野球を始めたのですが、その頃から今までの約12年間、ずっと夢見てきた「甲子園出場」という夢を叶えることの出来る最後の大会となりました。
自分の代では新型コロナウイルス感染拡大防止のため、一時期、対外試合禁止、練習は平日の90分のみ、と物凄く限られた時間の中で活動していました。しかしそんな状況の中でも自分たちはマイナスに考えることなく、「千葉県のどこの公立高校も条件は同じ。平日の90分の練習で絶対に勝って甲子園に行ってやる。」と逆に火をつけてきました。
そして頑張る理由はまだまだあるのですが最後にもう1つだけ紹介させて頂きます。
それは「我孫子東PRIDE」です。我孫子東高校は設立してから日が浅いのですが、残念ながら我孫子東高校の一般生徒は自分の学校に自信を持てず、出身校を隠したがる傾向があります。しかし坂本監督をはじめ、自分たち野球部は我孫子東高校に誇りを持っています! その思いを一般生徒に伝染させるため、まずは野球部が結果を残し、世に我孫子東高校の名を広め、一般生徒が誇りを持てる学校にしたいと思っています。
過去最高成績、ベスト16をこの夏塗り替えます!
厳しい練習で磨かれた「一糸乱れぬ団結力」で最高の恩返しを(櫻内 涼/3年)
私がこの夏季大会にかける思いは物凄く沢山あるのですが、我孫子東野球部全員が考え、思っていることがあります。それは今まで応援してくださった保護者の方、毎朝朝練をしていると「頑張れ、応援してるよ」と言ってくださる地域の方、遠くから自分たちの野球や、取り組みを見に来てくださった方のために最高の報告をしなければいけないということです。
そして何より自分たちが目標にしているのは、我孫子東高校の生徒の皆が卒業するときに胸を張れるように野球で結果を出すことです。
自分たちのために野球をやるのは勿論です。そのうえで、自分たちのプレーなどでどれだけ見てくださる方の心を動かすことができるのかが、勝ちへ繋がってくると思っています!
去年の先輩方の頃より自分達の力量は相当レベルが落ちています。ですがその力量を補うために他のところを磨いてきました。それは「一糸乱れぬ団結力」です! 冬場にやるサーキットでも、走り込みでも弱音を吐かず皆でプラスの声をかけて練習をしてきました! そのような所からこの団結力が磨かれたと思います! 大会でも必ずピンチは来ます! そのキツイ場面でも皆でプラスの声を掛け合いながらやっていこうと思っています!
夏季大会では必ず勝ち進み甲子園に行き、最高の恩返しをします!
「ここまで野球をやらせてくれてありがとう」を両親に(茂木 琉聖/3年)
「お元氣様です!」
これが僕たちの合言葉です。僕たちは決して「お疲れ様」という言葉は使いません。誰に会った時でも「お元氣様です!」と言って、まだまだ元氣だよ!とアピールし、自然に自分も相手もポジティブになるように声掛けしてきました!
それはさておき。夏の大会まで残り数日になって来ました。
わくわくする気持ちの片隅に、高校野球人生での最後の大会で、この仲間で野球をやるのがあと少しになってしまうのがすごく寂しいです。けどそんなこと言っていられません。
一戦一戦全員で勝ちに行き、みんなで野球をする時間を自分達で伸ばしていくしかありません。
自分自身、小学校1年生から野球をやらせてもらっていて、中学ではシニアリーグでやらさせてもらって、両親にはたくさんの苦労を掛けてきました。
その12年間の集大成として、両親には、「ここまで成長したぜ!」と言うような姿を最後見せたいと思っています。
場を借りて言わさせて頂きます。ここまで野球を続けさせてくれてありがとう。
最後に、僕たち我孫子東高校の最高成績が、ベスト16なので、まず16の壁を壊して、一戦必勝の心で、甲子園出場を果たし、坂本賢司監督を胴上げします!
「待ってろ甲子園」。
選手からの「ありがとう」に何度も救われた(マネージャー・清宮 希空/3年)
私がマネージャーを始めたのは1年生の秋からです。
何も分からなかった私を部員の皆は否定することなく受け入れてくれました。
最初はこんなにも大変な仕事をやり続けられるか不安だったけど、自分がやるって決めたことは何がなんでもやり遂げるぞと思いました。
朝早くから夜遅くまでの練習。時には、辞めたいって思ったりもしたけど、そんな時、優しく声をかけてくれた部員には「お前がいないとダメだ。」「みんな希空の頑張り分かってるよ。」などたくさん励ましの言葉をもらってここで負けてはダメだ、自分は皆を支える側だから笑顔にならなきゃと思うようになりました。
選手から言われる「ありがとう」の言葉に何回も救われました。クリスマスの時にサプライズで作ったケーキも美味しそうに食べてくれたり、大会の前に作ったお守りも喜んで受け取ってくれたり、数え切れないほどの喜びをこの1年半で感じました。
この代で、マネージャーをできたことに本当に感謝しています。
引退という言葉を聞きたくないほど1日でも多く皆と過ごしていたいです。
絶対連れて行ってね甲子園。
中学時代までの選手経験が今に生きている(マネージャー・新堀 愛/3年)
私は小学二年生から選手として野球を始め、中学も男子に混じり選手として活躍、そして今野球部のマネージャーとして活動しています。
高校入学前は正直、マネージャーとして自分が選手をサポートできるか不安でいっぱいでしたが、選手として活躍してきた自分が活かせることはないかと考え入部しました。実際、先輩方は怖くて泣いたことも多々ありました。そのような先輩方に指示出来なくて監督にドヤされるなんてこともありました。今では自分の成長に繋がった思い出です。
また、一つ上のマネージャーが居なく、選手とぶつかったり、早朝から夜遅くまでの練習で辛い日々に負けそうになったり、自分に向いてないのかなと思い何度も辞めようと思ったこともありました。しかし、何気ないことで『ありがとう』と言ってくれる選手達を私が支えなくては思うようになりました。イベントでプレゼントをすると、グラウンドとは違い笑顔ではしゃぐ姿を見ると、やってて良かったなと思わせてくれます。今では共に成長させてくれた皆に感謝しています。
私はこの代でマネージャーができた事、そしてなにより大好きな我孫子東高校野球部を誇りに思います。
皆なら甲子園連れて行ってくれるって信じてます。頑張れよ!!
前編はコチラから。
(取材・文/山口真央)