高校球児を一番近くで見守るサポーター、それが保護者だ。野球に限ったことではないが、保護者の見守りや全面的協力がなければ、なかなか部活というものに全力投球するのは難しいもの。また、保護者としても、土日返上でのお弁当作りや試合の応援など、やることは山積みだ。今回は、千葉県立幕張総合高校の保護者にアンケートを実施。その回答を一部編集し、お届けする。
幕張総合高校、通称「幕総」は、現在メキメキと力をつけている千葉のダークホース。公立校ながら広々とした野球部専用グラウンドがあり、総勢約70人の部員が日々練習を重ねている。偏差値も高く、文武両道という言葉がぴったりな学校だが、幕総を選んだきっかけはなんだったのだろうか。
幕総に入ったキッカケは?
もっとも多かったのは「子どもが自ら選んだ」という回答。「最終的には息子が決め、今思っても最高の決断だったと思います(3年生の保護者Mさん)」。
「息子は、幕総に入れなかったら野球ができなくてもいいとまで考えていたようでした。前期試験には不合格でしたが、あきらめず後期試験で合格。親子で喜びました(3年生の保護者Uさん)」。
という回答がいくつもあがり、幕総で野球をしたいという選手と、それを応援する保護者が一体となって受験に臨んでいた数年前がうかがえた。
秋季大会、春季大会と共に県ベスト16を記録する幕総野球部だが、公立校で甲子園を目指したいと、遠方から通う生徒も多い。毎日遅くまで練習に励む球児たちに、どんなサポートをしているかと尋ねると、多くの“お母さん”からは「食事です」の声が。
お母さんの主なサポートは?
「食べる量が多くはないので、お弁当など残さず食べてくれるよう考えて作っています(2年生の保護者Sさん)」。「少しでもおいしいごはんをと思い、お米は毎朝ガスで焚いています!(2年生の保護者Kさん)」。
朝早くからの練習や土日の遠征なども多く組まれる幕総野球部。息子よりも早起きしてお弁当を作るお母さんたちからは、愛のあふれる「おいしい応援」が届いていた。
また、“お父さん”たちからのサポート内容も多く寄せられた。
お父さんの主なサポートは?
「庭にバッティングゲージを作りました。道具の手入れも父である私の担当です(2年生の保護者Sさん)」。「投球フォームが気になるようなので、動画を撮っています(2年生の保護者Sさん)」。
など、よりプレイに近い部分はお父さんの役目が多そうだ。野球経験者のお父さんも多く、「仕事終わりでもできる限りキャッチボールや素振りに付き合っています」といった声も。一番身近な指導者は、やはり“父”なのだ。
幕総野球部では、土日に練習試合が行われる際、多くの保護者が応援にかけつける。なかには設備の修理を買って出る保護者もおり、老朽化したベンチや保護者用スタンドの木材に針金を取り付けたり、釘を打ったりする保護者の姿が見かけられた。
保護者会代表を務める茂木さんに聞くと、「公立高校としては珍しい広々としたグラウンドなど、設備のよさが決めてとなり進学を決意したご家庭は多いと思います。それらの維持には、保護者の協力が非常に大きいということを改めて実感しています」とのこと。部員や先生だけでなく、保護者も含んだ三位一体で運営されている、家族的な団体だと語ってくれた。
前回の記事では、部員、先生、保護者が三位一体になった「チーム野球」の様子をマネージャー目線でお伝えしたが、保護者アンケートからも絆の強さがうかがえた。
「もうすぐ夏。最後の大会が近づいています。今までやってきたことや、想いを1試合1試合にぶつけてください。保護者全員、皆さんを全員で応援しています(茂木さん)」
「チーム野球」でつかみ取る夏の切符。その一翼は、保護者の協力がなくてはならないものなのだ。
(写真/廣瀬久哉 取材・文/山口真央)