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【長野・飯山】吉池拓弥監督・関壱星主将・木村広美投手インタビュー

2021.2.7

長野・飯山高校野球部を指導する吉池拓弥監督とショートを守る関壱星主将、そしてエースの木村広美投手に話を聞いた。

※写真はピロティで投球練習に取り組む投手陣。左が木村投手。


「いくつになっても野球をやり続けられるように、その楽しさも伝えていきたい」(吉池拓弥監督)


選手とのコミュニケーションを絶やさない吉池監督。

――これまでの経歴を教えてください。

吉池監督:選手として、丸子修学館高校、大東文化大学で外野手としてプレーしていました。卒業後、母校・丸子修学館で講師として4年間勤務。顧問として野球部も指導しました。17年に飯山に赴任し、野球部では部長に。18年秋の大会後に監督に就きました。

――伝統校である母校で選手、指導者として学び、今に生きていることは?

吉池監督:丸子の選手時代にセンバツに出場し、初戦で智弁和歌山に終盤に突き放されて敗れました。丸子の指導者になってからは県外の強豪校ともよく練習試合をしましたが、打ち負けることが多かったです。最低限の投手力は必要として、やはり打たないと勝てないと思いました。もともと打つことが好きだったこともありますが、飯山では打撃に力を入れたチームづくりをしています。

――就任1年目で同校初の甲子園に出場。その後にチームづくりに変化は?

吉池監督:探り探りの1年目でしたが、甲子園に行くまでにいろんなドラマがあり、そのドラマを力に変える力が、甲子園に行った子たちにはありました。プラスのこともマイナスのことも全部吸収して自分たちの糧にできました。いろんな経験をさせてやることはチームにとって大事だなあと思いました。決して意図的につくれるものではないですが、できるだけチームにとって、いいことも悪いこともドラマがあるようにこちらが仕向けることが大事なのかなと感じました。

――ディフェンディングチャンピオンとして迎えた昨年は、周囲の見方も変わったのでは?

吉池監督:選手たちは特に感じたと思います。苦しかったことでしょう。例年通りにやっていても、「そんなんでいいのか」、「甲子園に行っているチームなのにこんなこともできないのか」と周囲からは見られるようになります。ですから、僕らも言わないわけにはいかないです。「このチームは県で一番注目されている。それが(優勝チームの)宿命だし、乗り越えないといけない」と言ってきました。本当に苦しかったと思います。勝って当たり前、負けたら何やっているの? となるわけです。だから今年、来年は大事になります。

――それでもコロナ禍の中、昨年夏も決勝に進みました。

今の3年生が苦しいながらも決勝に行って、さらに注目度を上げてくれました。この2年間頑張った分、今年が勝負なのかなと思います。

――下級生たちもその頑張りを見てきました。

吉池監督:2年生は(1年時に)甲子園を知っていますし、昨年の決勝の負けも見ています。いろんなプレッシャーはありますが、僕は意外とそういうものを感じないタイプ。ただし選手たちにとっては苦しいと思います。

――それも注目されているからこそ。

吉池監督:それも話をしています。こんな苦しい思いができるのも、先輩たちが勝ってくれて注目されたから。勝ったチームの宿命だから、そういうものを楽しんでいこうと言っています。

――ライバル校は「打倒飯山」できます。

吉池監督:相手校の向かってくる姿勢が違ってきて、選手たちも心が揺れる部分ありました。そこで受け身になったら勝負にならないからとは話しています。強豪校がそうして向かってくるのは、こちらを格下と見ていないからだと思います。

――将来を含めてどのようなチームづくりをしていきたいですか?

吉池監督:選手たちには勝つ喜びを味わわせたいです。それには投げる、走る、振るといった基礎能力を上げてやることが大事。僕自身は厳しい野球の指導を受けてきましたが、これからはいくつになっても野球をやり続けられるように、楽しさを伝えていきたいと思います。

「打ち勝つスタイルは今年も継続」(関壱星主将)


前チームから唯一の主力で、プレーでも引っ張る関主将。

――昨年夏は2年生で唯一スタメンで出場していました。

関主将:新チームのスタートが遅れましたが、夏を経験した自分が、自分のプレーだけでなく周りにも気を配るようにしてきました。

――それでも昨秋は県大会(16強)に進みました。

関主将:ずっと取り組んできた打撃はよかったと思います。ただ負けた試合は、遅いボールに対応できませんでした。その後、県外の強豪校との練習試合で、相手の監督さんから「1つでもいいところを盗んで」というアドバイスをいただき、チームとしてもそのように意識してきました。

――2年続けて夏は県大会決勝に進みました。

関主将:周りの応援の声が大きくなり、プレッシャーはあります。しかし、先輩たちが決勝に進んだのを見てきているので、どういう雰囲気で、どう戦えばいいかは学べました。それはプラスになっています。

――プロも注目した常田唯斗先輩(3年)の存在は大きかった。

関主将:常田さんが抜けたから負けた、では悔しいです。結果として「飯山高校が強い」と言われるようになりたいです。

――オフシーズンも折り返しです。

関主将:冬は雪でグラウンドが使えませんが、施設に恵まれ、雪を使ったトレーニングもできるのでプラスにとらえています。実戦から遠ざかる分、春先はハンディがありますが、これまで同様に打ち勝つスタイルは継続し、シーズンに臨みたいです。

「『常田さんがいないからだめだ』と言われないように」(木村広美投手)


昨秋は背番号1を背負った木村投手。

――昨秋はエースナンバーを背負いました。

木村投手 調子の悪いときにうまく修正できませんでした。

――このオフの強化ポイントは?

木村投手 体力、筋力がないので毎日5キロ走っています。秋から体重が8キロ落ちて体にキレが出てきました。室内で投げ込みやチューブトレーニングなどもしています。

――フォームで修正するところは?

木村投手 重心を下げて前に踏み込んでいけるように意識しています。これは(前のエース)常田さんに言われたことです。優しく教えてくれて、目標の先輩です。

――最後のシーズンに描く投手像は?

とにかくチームが勝てるようにゲームをつくりたいです。常田さんと比較されるのはプレッシャーですが、それを励みに「常田さんがいないからだめだ」と言われないように投げたいです。


リポート第1回 雪国のハンディをプラスに変えて
リポート第2回 冬場の5万スイングが夏に開花

(取材・文・撮影/小池 剛)


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