トレーニング

【日大藤沢】強豪を陰で支える「ボディ・パフォーマンスディレクター」という仕事

2020.8.15

 自粛期間中になかなか満足のいく練習ができなかった日大藤沢でしたが、そのチームを陰で支えている存在がいます。ボディ・パフォーマンスディレクターの瀧本修さん。多くのプロ野球選手や一流アスリートが通うことで知られている鳥取県のスポーツ施設「ワールドウィング」に高校卒業から12年働いた経歴を持つ瀧本さんにお話を聞きました。


--瀧本さんご自身は野球経験はないと伺いましたが、どのような経歴で今のような立場になられたのですか?

瀧本「自分は中学、高校は陸上部でした。高校2年生の時に出身地の鳥取で国体があって、自分の同級生がその強化メンバーに選ばれていたんですね。その強化部長がワールドウィングを立ち上げた小山(裕史)さんと繋がりがあって、自分もトレーニング分野に進むことになりました。小山さん自身もまだトレーナーという立場ではなくて、現役のボディビルダーでしたね」
 
--そこから野球へはどのように繋がっていったんですか?

瀧本「そこでまずトレーニングを学ぶきっかけができて、野球に関しては天理高校の野球部のトレーニングにかかわったのが最初だと思います。そのうちワールドウィングに山本昌さん(元中日)や、藤井康雄さん(元オリックス)が来るようになって、プロ野球選手にも触れる機会ができたんですね。そういう中で一流の選手の感覚や動きを雑学的に知ることができて、これを高校生やアマチュアの現場にも生かせないかなと思うようになりました」
 
--日大藤沢ではどのようなことを指導されているのですか?

瀧本「トレーニングメニューだけではなくて、実際のプレーの動きについても見ています。といっても自分は野球を選手としてやったことがないので、選手の感覚を聞きながら、その動きをよくするためにはどうしたら良いかというのを日々考えながらやっている感じですね。
例えばバッティングって、いくらスイングが速くてもバットがボールに当たらなければ意味がないじゃないですか。そのバット操作の感覚を養うために、ロープをバットと同じ長さにして打つようなことを取り入れたりしています。やっぱりミートできる選手はロープのしなりも上手く操れるんですね。



あとタイミングをとるのに苦労するという話をよく聞くので、実際に素振りしているタイミングは何キロのボールに合わせているのかというのを映像から計算したりして、バッティングリズムという音を作るということもやりました。実際に投手がリリースしてボールが来ることをイメージしやすい音にして、インパクト音もつけています。これを90キロ、110キロ、140キロみたいな形でいくつか作ってその音に合わせてバットを振るような練習ですね」

--確かに今までにあまり聞いたことのないような取り組みで面白いですね

瀧本「トレーナー、トレーニングというと体を鍛えて終わり、というイメージが強いと思うのですが、そうではなくて実際のプレー、動きに繋がらないと意味がないと思うんですね。だから実際の動作や感覚的なものに繋げるにはどうしたら良いかというのは意識して考えています。あとは基本ですけど怪我をさせないこと。せっかくパフォーマンスが上がっても怪我をしたらまた後退してしまいます。去年のチームの冬からこちらにも来させていただいて、バッティングは色々とできてきたので、次はピッチングも取り組んでいきたいですね。ある程度普通のレベルの子が140キロ、体に恵まれている子が150キロ投げられるのが当たり前くらいにできたらいいなと思います」

この日の練習でも多くの選手が鋭い打球を放ち、神奈川大会でも1回戦から打線が爆発していたが、その裏にはこのような取り組みが大きく影響していたことが考えられる。今後、投手陣のレベルアップにも注目したい。(取材・文:西尾典文/写真・編集部)

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