夏の甲子園とその代表校を決める地方大会の中止が決定となった今年――。全国各地でその代替となる大会が行われていますが、果たして当事者である球児、指導者はどのような思いで自粛期間を過ごし、野球に取り組んできたのでしょうか? 今回は昨年の神奈川大会で準優勝を果たした日大藤沢高校で指揮を執る山本秀明監督にお話を聞きました。
--今回の新型コロナウィルスの件で練習できない期間が長かったと思いますが、その間に監督から選手に対して指示したことなどはありましたか?
山本「正直今考えると、ここまで長くなると思っていませんでした。2週間程度だと思っていたのが結局3か月くらい続きましたからね。ただ休校なのでこちらから何かをやりなさいとは言えない状況でした。だからうちの野球部にあるマニュアルやフォーメーションの資料なんかを写真に撮ってLINEで送ったり、トレーナーから家でできるようなメニューを不定期で配信してもらったりというくらいですね。最初からこれだけ長くなると分かっていればもう少し色々できたんじゃないかという思いはあります」
--甲子園大会が中止になったタイミングで何かお話しをされましたか?
山本「春の県大会がなくなった時には、夏に向けてということをキャプテン経由でLINEを送りました。ただ夏がなくなった時はこのまま引退になる可能性もありましたし、いつ練習が再開できるかもわからなかったので、メールなどで伝える内容ではないと思って、長文を送るようなことはしませんでした。6月8日に分散登校が始まって、全員が揃って顔を合わせたのが14日の日曜日だったので、その時に改めて話をしました」
--全員で揃った時にどのような話をされましたか?
山本「第一声は『言葉もないんだけど…』だったと思います。ちょうど全国で代替大会の開催が発表されていた時期で、神奈川県も高野連の理事の先生や色んな大人が動いているので、開催されることを信じて区切りをつけるために一生懸命やろうということを話しました」
--監督ご自身は中止になった時にどう思われましたか?
山本「自分もそうでしたけど、やっぱり甲子園を目指して野球を始めた子も多いので、本当に言葉もないというのが正直なところですよね。あと当日に地元の新聞社から連絡があってコメントを求められたので話したんですけど、本当に選手のことを思うのならコメントしなければ良かったかなと、自分の言葉で直接選手に伝えるべきだったなとは後から思いましたね」
--自粛明けに集まってきた時、選手たちはどんな様子でしたか?
山本「区切りをつけるまでやろうという話はしましたけど、まだ代替大会の開催は決まっていなかったので、どうしても探り探りという感じでしたね。何とかついてきたような子もいますから、そういう子に対して目標も正式に決まっていない中でこちらから強く言うことも難しいなと感じました。練習時間も最初は1時間半、今でも2時間しかできないので、そこまで細かいことはできないまま大会に臨まないといけないというのが正直なところですね」
キャプテンの小泉和也選手、姫木陸斗選手(日大藤沢はダブルキャプテン制)に聞いても、自粛明けで全員が集まった時は「まとまりがなくて(感染拡大を防ぐために)大きな声も出せなくてやりづらい状況でした」と話していました。
昨年の神奈川大会決勝で敗れた東海大相模に勝つという目標に向けてようやくまとまってきたとのことだでしたが、高校野球における目標の重要さがよく分かる話でした。(取材・文:西尾典文/写真・編集部)
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