「甲子園がない」―。厳しい現実を前にして、球児たちはどのような思いで野球に取り組み、代替大会に臨もうとしているのでしょうか。球児達の生の声が聞きたいと思い、昨年秋の都大会で強豪・二松学舎大付を破り、優勝した国士館とも1点差の接戦を演じた明大中野八王子のグラウンドに伺いました。前編では椙原貴文監督に話を聞きましたが、後編ではキャプテンの江口陽太選手と、副キャプテンの花岡秀太選手、丸尾快選手の三人に話を聞きました。
キャプテン・江口陽太(えぐちひなた)投手
--3月から登校できない期間が長く続きましたが、その期間はどのようなことを心がけて自主練習に取り組んでいましたか?江口「個人、個人で練習していると、いざ集まった時にチームがまとまるまでに時間がかかってしまうと思ったので、オンラインを活用してなるべく一体感は出そうと思っていました。具体的には朝時間を決めて全員で集まってトレーニングをしたりとかですね」
--監督からはあまり具体的な指示は出さなかったと聞きましたが
江口「そうですね。選手たちで話し合って決めました。ポジションごとで少人数のLINEグループを作っていたので、その中で今日やったメニューや動画を送りあうということは毎日やっていました」
--江口くん自身はピッチャーということですけど、個人的にはどんなことを取り組んでいましたか?
江口「家の近くにグラウンドがあるので、近所に住んでいる他校の友達に声かけてボールを投げたりすることはできました。あとは個人でやるランニング、ダッシュなどのメニューやトレーニングが中心ですね。チーム全体でも自粛前からの現状維持ではなくて、進化した状態で集まろうと話していたので、それは意識していました」
--5月20日に甲子園の中止が決まりましたが、その時は率直にどう思いましたか?
江口「今年のチームは秋に戦った感じでも、例年より力があると思っていたので、そんな中で夏の甲子園が中止になったというのはまず率直に残念な気持ちが強かったです。この残念な悔しい気持ちをどこに向けたらいいんだろうとは思いました。ただその後にオンラインで3年生全員で集まって、全員が思っていることを話して、西東京の代替大会は3年生にとって集大成となる試合だから、最後までそれに向けてやり抜こうということは意思統一できました」
--否定的な意見を言う選手はいませんでしたか?
江口「進路に向けて大事な時期と重なりますし、その後の人生の方が長いので勉強した方がいいんじゃないかという意見を言う選手もいたんですけど、最終的には全員が最後までやり切るという気持ちになれたと思います」
--7月に入って久しぶりに全員集まっての練習が再開されたと聞きましたが、その時の雰囲気はどうでしたか?
江口「3年生で話し合った後に2年生と新しく入ってきた1年生にも話をして、最後まで夏に向けて全員でやり切るということを説明したこともあってか、雰囲気は凄く良かったと思います。プレーについても細かい動きはまだまだですけど、全体的にみんなしっかり動けていました。みんな進化して夏に向けて取り組めていると思います」