選手たちのアイディアと行動に、心動かされた指導者たち
「自粛中、生徒たちから多くのことを教えられた」と指導者が口をそろえる。宮城・名取北の榊良輔監督は「生徒からおススメの本を教えてもらった。昔読んだような高校生向き青春モノを久々に読みました。日誌を英文にして送ってくる生徒がいたりと、自己表現の方法は1つじゃないと教わりました。会ってなくても変化、成長を感じられてうれしかったです」。
福岡・中村学園三陽の永井孝浩監督は「日誌の内容が薄かった日、ある生徒が『みんなが見よるのに、こんなんでいいと?』と(ZOOMで)厳しく指摘していた。仲間意識はこんなふうに高められるんだなと思った。仲がいいチームでしたが離れていても信頼の熱が伝わって、頼もしかったです」。
神奈川・県立相原の那須野恭昂監督は「神奈川含む8県の休校が延長になったとき、もう一度気持ちを入れなおそうと個人目標を設定することになった。僕も減量2・6キロを宣言しました」と、選手との“共闘”を決意。
岡山・おかやま山陽の堤尚彦監督は「ピッチャー陣から自作のマウンドで投球練習をする動画が送られてきて、涙が出そうになりました。この子たちのためにも、環境だけは整えておかないとと思った」と、グラウンドやネットの補修に気合が入ったという。選手たちの思いに指導者たちが心動かされたこともあった。
神奈川・県立市ケ尾は母の日に「感謝をどう伝えたか」を菅澤悠監督に報告した。5月10日の夜、メールボックスに次々と写真や動画が届く。花や品物のプレゼント以外にも、お手伝い券や、マッサージ券、歌やキャッチボールなど多彩なアイディアが集まり、監督を驚かせた。「毎年この時期は県外遠征で忙しく母の日どころではない生徒もいたはず。ゆっくり家族と向き合う時間ができ、部活の在り方を考えるきっかけになりました」。ものごとを違う側面から考えることに気づかされた。
(文・樫本ゆき)
「『最後まで選手たちと向き合う』。諦めない指導者たち。」に続きます。
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