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「高校野球脳を鍛える 実戦プレー問題集」にチャレンジ!(中級編:問題5)

2020.5.7

昨年6月に発売されたこの本では、実際にあったプレーを挙げながら、考え方、守備位置、カバーリング、ルール等を初級、中級、上級に分けられた全120問を徹底解説しています。今回は中級編の中から、捕球後にベンチに倒れ込んでしまった場合の判定に関する出題です!


中級編|問題5

問題

無死一塁でベンチ前にファウルフライが上がりました。
キャッチャーが追いかけ、捕球後にベンチ内に倒れこみました。
この時の判定はどうなるでしょう?


解答・解説

捕球が認められ、打者はアウトになりますが、一塁走者は二塁を許されます。
公認野球規則5.06(b)『進塁』にはこうあります。
『(3)次の場合、打者を除く各走者は、アウトにされるおそれなく1個の進塁が与えられる。
(c)野手が飛球を捉えた後、ボールデッドの個所に踏み込んだり、倒れ込んだ場合。
【原注】野手が正規の捕球をした後、ボールデッドの個所に踏み込んだり、倒れ込んだ場合、ボールデッドとなり、各走者は野手がボールデッドの箇所に入ったときの占有塁から1個の進塁が許される』


実際にあったプレー

2009年センバツ・今治西対報徳学園戦。3回表、報徳学園は1死一、二塁から5番の奈良貴晃がサードへファウルフライを打ち上げます。この打球を追いかけた今治西のサード・関裕一郎はうまく捕球しましたが、捕球後にカメラマン席に倒れ込んでしまいました。その結果、ボールデッド、さらには2人の走者に一つの進塁が許され、2死二、三塁で試合再開となりました。
せっかくの勇気ある好プレーですが、カメラマン席に倒れ込んだために相手に有利なプレーとなってしまいました。この直後、今治西は次の打者にセンター前にタイムリーヒットを打たれています。このときは1失点で済みましたが、二、三塁にしてしまったことで2失点する可能性もありました。
懸命なプレーだけに余裕はないと思いますが、しっかりとルールをJK(事前に確認)し、捕ったとしてもベンチ内やカメラマン席などに倒れ込みそうな打球の場合には、あえて捕らないという選択肢も頭に入れておいてください。


『高校野球脳を鍛える 実戦プレー問題集』(田尻賢誉/竹書房)

昨年6月に発売されたこの本では、実際にあったプレーを挙げながら、考え方、守備位置、カバーリング、ルール等を初級、中級、上級に分けられた全120問を徹底解説しています。





著者

田尻賢誉(たじり・まさたか)
1975年兵庫県生。学習院大学卒。ラジオ局勤務を経てスポーツジャーナリストに。高校野球をはじめ、徹底した野球の現場取材に定評があるほか、指導者、中高生、父兄への講演活動も行っている。『機動破壊』、『機動破壊の秘策』、『機動破壊の解析力』、『高校野球は親が9割』、『超強豪校』、『激戦区を勝ち抜く方法』(すべて小社)など著書多数。

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