トレーニング

「高校野球脳を鍛える 実戦プレー問題集」にチャレンジ!(中級編:問題3)

2020.4.28

昨年6月に発売されたこの本では、実際にあったプレーを挙げながら、考え方、守備位置、カバーリング、ルール等を初級、中級、上級に分けられた全120問を徹底解説しています。今回は中級編の中から、3点リードして迎えた最終回の守備側のある場面からの出題です!


中級編|問題3

問題

3対0とリードするチームの守りです。
9回表無死一、二塁の状況で、どんな守備隊系を取ればよいでしょうか?

実際にあったプレー

2015年プレミア12準決勝・日本対韓国戦。3対0とリードする日本は9回表無死一、二塁、打席に一番の右打者・鄭根宇という場面でサードの松田宣浩は併殺狙いで三遊間寄りの守備位置をとりました。ところが、打球は三塁線へ。決して会心の当たりではありませんでしたが、松田は追いつかずタイムリー二塁打になりました。このあと、日本は死球、押し出し四球、2点タイムリーで逆転され、3対4で敗れました。

解答・解説

3点リードして、あとアウト3つで勝利という状況です。2人の走者が還っても逃げ切れます。となれば、二塁走者は無視して無死一塁と考えて守ればいいわけです(両方の走者を無視してもいいぐらいです)。

当然、取るべきなのは長打警戒シフト。ファースト、サードはライン際を締め、外野手は深めに守る。同点の走者となる打者走者を二塁に行かせないように守るべきです。紹介した場面で松田は併殺狙いの守備位置でしたが、それは最高の結果。この場合は最悪を考え、長打を防ぐことを優先するべきでした。

また、二塁走者は透明人間で、無死一塁と考えて守るわけですから、ファーストは一塁ベースにつき、一塁走者のリードを小さくすることが必要です。それによって、内野ゴロでのダブルプレーが取りやすくなります。二塁走者は無視しているのに、通常の無死一、二塁と同じようにファーストが一塁ベースを空けていると、一塁走者に大きなリードを取られてしまい、併殺を取れなくなる可能性が出てくるからです。もし打者が左の強打者であれば、ファーストは投手の投球と同時に後ろに下がって守ればよいでしょう。



『高校野球脳を鍛える 実戦プレー問題集』(田尻賢誉/竹書房)

昨年6月に発売されたこの本では、実際にあったプレーを挙げながら、考え方、守備位置、カバーリング、ルール等を初級、中級、上級に分けられた全120問を徹底解説しています。





著者

田尻賢誉(たじり・まさたか)
1975年兵庫県生。学習院大学卒。ラジオ局勤務を経てスポーツジャーナリストに。高校野球をはじめ、徹底した野球の現場取材に定評があるほか、指導者、中高生、父兄への講演活動も行っている。『機動破壊』、『機動破壊の秘策』、『機動破壊の解析力』、『高校野球は親が9割』、『超強豪校』、『激戦区を勝ち抜く方法』(すべて小社)など著書多数。

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