夏の甲子園に11度出場している中越だが、全国大会での勝利はわずかに2つ。全国の大舞台で勝利するチームづくりのため2019年3月から野球ノートを導入。その裏にある指揮官の思いとチームの変化などに迫った。
甲子園初戦敗退を繰り返し
個々の自立の重要性を再確認
「ここ5年間で、夏の甲子園に3回出場できましたが、結果はいずれも初戦でサヨナラ負け。同じ内容で負けているわけですから、今まで通りでは絶対にダメだと思いました」。「2018年の夏の甲子園後、もっと選手が自立して物事を考え、状況判断し、行動に移さなければいけないと思っていました。そのことを原田さんに話すと、これまではグラウンド内だけで頑張っていて、まだまだやれることをやっていなかったと気がついたんです」。
原田さんとの会話で出てきたのが野球ノートだった。実は本田監督、就任3年目のときにも野球ノートを実施したことがある。選手一人ひとりにノートを書かせていたが、学校業務に加え、監督業もこなす多忙な日々でノートをチェックする時間がとれず、途中でやめてしまった。その失敗を繰り返さないためにも、やり方を徹底。まずは、選手たちに原田さんの考え方を理解してもらうため、特別講演をしてもらった。
甲子園のような大舞台で勝利をつかむには、グラウンドでプレーしている選手はもちろん、ベンチ内外の選手も含めて、部員全員が同じ方向を向いていなければいけない。もし誰かが他を向いていたら、隣の選手がそれを正す。このようなコミュニケーションが絆となり、一体感あるチームがつくり上げられる。そのツールとして活用できるのが野球ノートなのだ。「スタートして、まだ数ヵ月ですが、効果は徐々に表れています」と本田監督。それは、選手たちの練習風景を見ても伝わってきた。