上條将希投手(現伏木海陸運送)を擁して2014年夏の埼玉大会で準優勝を果たした川越市立川越高校。その後も、2017年秋に関東大会出場(県大会準優勝)、昨年も春夏と県大会ベスト8に進出しており、激戦区埼玉でコンスタントに好成績を残している。そんな市立川越の5月の練習を取材した。
1年生には無理をさせない
市立川越は1926年、埼玉県川越商として創立。その後複数の校名変更があり2002年に現在の名称となった。一時は高等女学校だったこともあって現在でも全体の7割が女子生徒だが古くから野球部も力があり、川越商時代の1989年には夏の甲子園にも出場。巨人と中日で活躍した仁村薫選手や、長く社会人野球の鷺宮製作所でエースとして活躍し現在はコーチを務めている岡崎淳二投手は同校のOBである。そんな市立川越だが公立高校ということもあって選手の全員は自宅生であり、この春のレギュラーも中学時代は学校の軟式野球部に所属していた選手が大半である。そんな環境だからこそ、入学してくる1年生にはまず故障することなく高校生活、硬式野球に慣れることに何より気を使っているとチームを指導する新井清司監督は話した。
「うちに来る選手は普通に受験して入ってきますから、中学3年の夏の時期と比べても体(筋肉)が萎んだ状態で入部してくるんですね。だから入学してから今の時期はとにかく無理はさせません。今日も来週からテスト期間が始まりますから、授業が終わってからも勉強の時間にして、その後1時間くらい練習するだけで終わるのも早くしています」
普段の練習は授業が終わった後の15時30分頃にスタートするが、新井監督の話の通り、その時間にグラウンドに集合したのは2年生と3年生だけ。勉強を終えて合流した1年生はまずトレーニングメニューを消化した後に、ボールを使ったゴロ捕球のドリルを行い、その後も早々に着替えてグラウンドを後にしていた。翌日の土曜日は他校のグラウンドで練習試合が組まれていたが、1年生は学校に集合して勉強の時間にあてているそうだ。またこの日行っていたトレーニングについても、動きについては上級生と同じものを行っていても、負荷は軽くしているという。
「うちは(鉄製の)プレートを持ったトレーニングをよくやるんですけど、1年生の最初のうちはグラウンドに置く(プラスチック製の)マーカーを持たせてやっています。最初から重いものを持たせてやると故障に繋がりますので、まずはトレーニングの形、動きをしっかり覚えるという意味で軽いものを持たせた方がいいとトレーナーの方が言うのでそうしました」