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【東京農大】勝亦陽一准教授に聞く「高校時代に大事にしてほしいこと、大学野球の良さ」

2019.1.31

東京農業大学応用生物学部でスポーツ科学、発達科学、コーチングなどをテーマに研究を行っている勝亦陽一准教授。学生時代は早稲田大学の硬式野球部に所属し、選手としても研究者としても多くのプレイヤーに触れてきた野球分野の若き研究者である。そんな勝亦准教授に高校生年代の選手が心がけておくべきこと、大学以降も野球を続ける上で重要だと感じていることを聞いた。


――まず勝亦先生が野球に関する研究を行おうと思ったきっかけを教えていただけますか?

「自分は地方、静岡県の出身で、当時は今のように情報もなくて何が正しいか分かりませんでした。そんな環境でしたのでまずは『どうやったら野球が上手くなるか』ということを知りたいという気持ちが強かったですね。大学時代は和田毅(ソフトバンク)投手と同じ学年です。同期に土橋(恵秀)というトレーナーがいて、彼と和田が二人三脚で色々と取り組んで、どんどんレベルアップしていくのは凄いなという気持ちで見ていました」

――ちなみに学生時代の論文はどのようなことをテーマにされていましたか?

「大学生の頃は投手の投げるボールのスピードとコントロールの関係性についてという論文でした。スピードとコントロールは高い確率でトレードオフの関係になるということですね。大学院では身体の発育と投げる能力の関係性をテーマにしました。投げるということはやはり腕が長い分だけ手(ボール)の速度が大きくなりますから、身長と投げる能力の相関性は打つ能力も高くなる傾向にあります」



――発育、発達という観点でも研究して発表されていますが、高校生やその下の中学生の年代の選手にとって、野球を続けるのであればこういうことをしておいた方が良いのでは? という提言はありますか?

「日本の得意なスモールベースボールの部分も確かに重要ですが、それよりもまずは野球の基本的なプレー、動きをしっかり身につけることが大切だと思います。具体的には速いボールをいかに正確に投げられるか、バッティングであればいかに正確にミートして遠くへ飛ばすことができるか、ということになりますね。
投げることであればまずは怪我をしない投げ方を身につけることが重要です。身体ができていない間に、負担のかからない投げ方ができるようになっておけば体力的な向上に比例して速いボールも投げられるようになります。投手であれば変化球も遊びで投げることは良いことだと思いますね。どう投げればボールがどんな回転をするかということを理屈で知っておいて、それを実践してみることは大切です。
打つことに関しては、軽いバットでも良いので自分の意図通りにバットを振れるようになることですね。あらゆるボールに対応するためにはまずバットの操作が重要になってきます。バットを速く振るための力は後からついてきますから、ボールをとらえて遠くに飛ばす、狙った方向に打つなどを重視してもらいたいですね。そのためにはテニスやバドミントンも動きとして近い競技ですので、どんどん取り入れると良いと思います。
捕球については型にはめないこと。これも投げることと共通していますが、遊び感覚でいろんなバウンドや軌道のボールを捕球することでボールへの対応ができるようになります」


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