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【羽黒】自然に生まれる選手と監督の対話。練習から「自分で考える」選手たち

2018.9.18

今年の夏、15年ぶりとなる甲子園出場を果たした羽黒高校。山形大会では準決勝、決勝と2試合連続でサヨナラホームランが飛び出すなど劇的な勝ち方を見せるなど、勝負強いチームカラーが目立った。そんな羽黒を率いる若き指揮官である小泉泰典監督にチームの方針、取り組みを伺いながら夏春連続の甲子園出場を狙う新チームの練習を取材した。


2005年の春には片山マウリシオ(元東北福祉大)を擁して選抜ベスト4にも進出している羽黒。しかしその後は惜しいところまでは行きながらも、甲子園出場には届かない時期が続いていた。
「東北の他の県に比べて山形県内は突出したチームがいない状況だと思います。日大山形、東海大山形、酒田南、鶴岡東、あと県立だと山形中央。うちもいいところまでは行くのですがあと一歩届かない。そして東北大会に出られても他の県の公立高校には勝てても、甲子園常連のチームには勝てない。うちも甲子園で勝ち進んだことはありますがその後が続かず、自分が来たときはブラジルからの留学生もいなくなっていて、なかなか勝てない時期が長かったですね」

2010年に羽黒のコーチとなり、2012年に監督に就任した小泉泰典監督

そう語る小泉監督は神奈川県出身で慶応高、慶応大で投手としてプレーし、慶応大の大学院在学中には運動学習を学びながら野球部の投手コーチも務めた経験を持つ。大学院卒業後の2010年に羽黒のコーチとなり、2012年に監督に就任した。投手出身ということもあってか今年の夏も2年生ながら甲子園で144キロをマークした篠田怜汰、プロ注目の148キロ右腕佐藤幸弥(3年)、サイドスローから制球の良さが光る金子摩周(3年)と力のある投手を揃えていたが、その裏には学生時代に取り組んだ運動学習の経験も生かされているという。

「学生の時にドッジボールを投げようとしたら思ったようなボールが投げられなかったんですね。そこで野球の熟練者に投げさせてみたところ、意外と上手にできない選手が多い。野球の小さいボールは簡単に握れるので、肘から先の動きに頼ってしまうことが多いようです。大きいボールは簡単に握れませんから、下半身を含めた全身を使って投げないとスピードもコントロールもつかないんですよ。投手陣は冬場によくやるのですが、毎日のようにドッジボールを全力で投げてスピードガンで測ったりしています。それで上手く投げられるようになると、ピッチングの動きも改善することが多いですね」
昨年のドラフトでも田中優大投手が育成ながら巨人から指名されてプロ入りしている。ドッジボールを使った練習はあくまで一例だが、好投手の輩出が続くのは羽黒の一つの強みと言えるだろう。




神奈川出身の小泉監督が羽黒に来てから感じたことが、やはり雪国ならではの環境の厳しさだという。羽黒高校のある鶴岡市も冬場は雪が積もり、11月下旬から3月上旬まではグラウンドが使えない時期が続く。またサッカーなど他のスポーツも盛んな羽黒だが、野球部専用の室内練習場は完備していない。
「神奈川から羽黒に来て感じたことは、基本的な能力の差はそれほどないのですが、実践慣れしていない選手が多いなということでした。冬場の4か月間にグラウンドを使えない、それが小学校、中学校の時からずっとということで、その蓄積が差になっているのかもしれません。

また、大会のスケジュールで言うと、春と夏の間が短い。東北大会が6月の2週目にあって、1か月後には夏の大会が始まる。春の大会が終わって一度調子を落としてもう一回上げていくには時間が足りません。そういうこともあって冬場から春にかけてはとにかく夏までに戦える個人の技術面、体力面を強化して、4月から夏にかけて実戦力を高めていこうという方針にしました。グラウンドが使えない期間は体育館にあるケージで打つこと、少しのスペースを使ってノックを受けることくらいしかできませんが、それでも個人の技術は伸ばせます。だからシーズン中も個人練習の割合が比較的長く、全体練習では実戦面を中心に行っています」

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