学校・チーム

【新潟高校】野球も勉強も手を抜かない、目指すは「究極の文武両道」

2017.9.1

円陣を組む新潟県立新潟高校野球部の部員たち

「文武両道」を実践する、偏差値65以上の高校6校をタイムリー編集部が密着取材した『甲子園を目指せ!進学校野球部の勝利への方程式』(辰巳出版)が発売!

取材した高校の中から、今回は新潟県立新潟高校の一部を紹介します。

”取材した6校の野球部には共通点があった。それは「人を育てる」教育をしているということ。「勉強」も「野球」も手を抜かないのは、そこに勝利の方程式があるから”(本書より)


優等生たちの意識を大きく変えたスパルタ“鬼"監督の情熱野球

『甲子園を目指せ!進学校野球部の勝利への方程式』|新潟高校編

[ 掲載内容 ]
「赴任先は『超』進学校の想定外」
「野球を言い訳にしない『意識改革』」
「『甲子園』は人生を変えてくれる場所」
「指導者は理不尽な『壁』となってこそ」
「勉強と野球の両立を苦にしない『イズム』」
「『デキた』子をもつ親の意外な本音」
「人知れず続けた努力で勝ちえた『信頼』」
「『苦い経験』から築き上げた一体感」
「あまりに呆気なかった『大敗』での幕切れ」
「新潟の勢力図を塗り替える『新時代』の幕開け」

「勉強と野球の両立を苦にしない『イズム』」より

今回の取材で我々が新潟高校を訪れた6月下旬は、ちょうど「部活動は原則禁止」でもある期末考査直前のタイミング。グラウンドでは、7月7日に開幕する県大会に向けて〝特例〟で練習を認められた野球部だけが威勢よく声を張りあげ、白球を追っていた。

部員数は、3年生11人、2年生14人、1年生12人の37人に、各学年2人ずつの女子マネージャーを加えた計43人。校舎に隣接するグラウンドは、外野部分が他クラブとの共用で、専用球場や寮、トレーニングルームといった類の豪華な施設はもちろんない。野球部そのものの陣容は、全員が偏差値にして「70」を越えるとされる難関入試を突破してきた秀才であることを除けば、公立校のなかでもごくごく〝質素〟な部類だと言っていい。

「設備や練習量といった部分では、確かに強豪校にはかないません。でも、そうやって現実にないものを羨ましがってばかりいてもキリがないですし、僕らは僕らで、自分たちにできることを精一杯やるしかない。限られた時間のなかで、どうしたらそれを有効に使えるかってことを考えながら練習をするのも、すごく意義のあることだと思うんです」

そう語ってくれたエースでキャプテンの森田豪は、中学時代に全国ベスト8も経験している数少ないシニアの出身。入学後には1年生ながらチームの4番として、さきのベスト4入りにも大きく貢献。部外では〝県高〟の気風を色濃く受け継ぐ応援団をまとめる団長としても活躍してきた、誰もが認めるチームの〝顔〟だ。その森田がさらに続ける。

「僕らにとっては、野球と同じように勉強もするのが普通のこと。その時々で切りかえて、勉強にもしっかり時間を割くことが、逆にいいリフレッシュになって、また野球をがんばろうって気持ちを生むんです。たとえ夏に9割は野球のことを考えていたとしても、冬にはそのぶん重点的に勉強をする。そうやってメリハリを利かせて、両方をおろそかにしないことが、僕ら野球部の伝統であり、強みでもあるんです」

強豪私学に入って甲子園を目指すという進路もあったなかで、森田は迷わず〝県高〟への進学を選択した。現在の志望校は、超難関のひとつである京都大の薬学部。類まれなるキャプテンシーでチームを牽引しつつも、一方では「研究者になりたい」と、自身の将来像をもしっかり見すえる。その両立を可能にするのが〝県高〟のよさだと、彼は言う。

確かに、どの選手に話を聞いても、野球と勉強の両立を苦にする様子はまったくない。遅くとも午後2時半には終わるという休日の練習後には、チーム内で連れだって塾や図書館へと自主的に足を向け、雪でグラウンドが使えなくなる冬場ともなれば、2年生と1年生がペアを組んで「次のテストでどれだけ成績を上げられるか」をゲーム感覚で競いあう−−。そんな日常生活から切磋琢磨しあえる雰囲気を作りだすのが、彼らの〝イズム〟でもあるようだ。

副キャプテンとして森田を支える古泉慶祐と金田悠暉の2人もこう語る。

「〝県高〟で野球をやってきてよかったなと思うのは、礼儀やコミュニケーション能力をはじめとした〝人間力〟が身についたこと。なかでも、切りかえの早さや、限られた時間のなかで効率よくタイムスケジュールを組み立てる力なんかは、練習時間などに物理的な制約があるウチだからこそ磨けた〝財産〟だと思っています」

森田と同じく貴重なシニア経験者でもある古泉は、試合では4番を任されることもあるチームの主軸。志望校は早稲田大の商学部で、将来的には「商社に入ってビジネスの世界で活躍したい」と語る、堅実派だ。一方、明るいキャラクターのムードメーカーとしてナインを鼓舞する金田は、そんな古泉とは好対照。「関西での生活に憧れているんです」と、京都大の経済学部を志望し、「自分がお金を稼げる起業家になって、世のなかの貧困を食いとめる助けになりたい」と、まるでビル・ゲイツのような壮大かつ男気のある野望を口にする。(文&写真:鈴木長月)

続きは本書よりお読みください


●公立の進学校が、本気で甲子園を目指す!

今年の夏の甲子園も様々な話題で盛り上がりましたが、その中のひとつとして、公立校の出場が過去最少となったということがあります。
その中で進学校となると、さらに少なくなってきてしまうのが現状です。
しかし、「文武両道」を掲げ、本気で甲子園出場を目指す公立校が全国には多く存在しているのもまた事実なのです。

●選手たちはいかにして「文武両道」を実践しているのか?

本書では、そんな公立進学校6校の「甲子園出場」という大きな目標に向けた取り組みを紹介していきます。
いかにして選手たちは、学業と部活を両立させているのか? 少ない時間の中で、どのような練習を行っているのか?
そういった疑問に対する答えだけでなく、本書は選手たちの挫折と喜び、指導者たちの思い、そして未来への夢が詰まった一冊になっています。

●公立進学校の監督&選手たちの6つの軌跡を収録!

【掲載高校】
◎県立宇都宮高校(栃木)/勉強にも野球にも本気で打ち込めるか。将来のリーダー育成を掲げる伝統校の真実。
◎県立丸亀高校(香川)/甲子園を目指せる高校として成功体験を心に刻み集中する。
◎県立岡山城東高校(岡山)/目標設定、実行、見直し、改善。短時間練習の中で意識を徹底。
◎県立新潟高校(新潟)/優等生たちの意識を大きく変えたスパルタ“鬼"監督の情熱野球。
◎府立四條畷高校(大阪)/人間教育で技術を向上させる。激戦区を勝ち抜くための指導とは。
◎県立川和高校(神奈川)/髪型自由、SNS自由。スマホも取り入れる自主自立の練習法。

【編者プロフィール】

タイムリー編集部
2009年7月に創刊し発行を続ける、全国約4000校の高校野球部へ直接配布するフリーマガジン「Timely!」。株式会社SEA Globalが発行元となり、隔月年間5回の頻度であらゆる高校野球部を始め、現場を徹底的に取材した記事を掲載している。
また、誌面以外にもWEBサイト「Timely! WEB」にて、高校野球を中心とした記事も配信している。