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【中学野球】離島のハンデを乗り越えて…「離島甲子園」から目指す甲子園(前篇)

2017.8.28

「離島甲子園」の提唱者でもある村田兆治さんを囲んでの記念撮影の様子

皆さんは「離島甲子園」という大会をご存じだろうか。佐渡島、伊豆大島、隠岐の島、屋久島、石垣島……日本に数ある離島で暮らす中学生の軟式野球大会で、正式名称を「国土交通大臣杯 全国離島中学生野球大会」という。まさかり投法で知られる元ロッテの村田兆治さんが、野球教室で訪れた離島で実戦経験が不足している野球事情を知り、提唱者となって立ち上げた大会だ。大会OBには甲子園大会出場者もおり、記念すべき第10回大会が8月21日から24日まで沖縄県の石垣島で開催された。


今年の大会は、全国23の自治体から過去最多の24チームが参加した。決勝戦は、地元の石垣島選抜(沖縄県石垣市)と宮古島アララガマボーイズ(沖縄県宮古島市)の顔合わせとなり、南国の日差しの強さに負けない、1点を争う白熱の攻防が展開された。

先攻の石垣島選抜は、当初は石垣中学校が主体のメンバー編成だったが、石垣中が沖縄県予選を勝ち抜いて全国中学校大会に出場したため、石垣二中のメンバーが中心。選手宣誓を行った砂川羅杏を中心に接戦を勝ち抜いて来た。

一塁側のスタンドから、石垣中学校の吹奏楽部の演奏が響き、すでに敗退した西表ヤマネコ・ティダボーイズ(沖縄県竹富町)や壱岐市選抜(長崎県壱岐市)が合わせて声援を送った。

後攻の宮古島アララガマボーイズ(沖縄県宮古島市)も2回戦以降は接戦を切り抜けて来た。三塁側から鳥羽選抜(三重県鳥羽市)などが彼らの背中を押した。保護者や地元の関係者だけでなく、準決勝で敗れた南種子中学校(沖縄県南種子町)や屋久島選抜(鹿児島県屋久島町)など決勝に残った2チーム以外の全チームがスタンドに姿を見せて応援や観戦を楽しみ、会場は華やかな雰囲気に包まれた。

華やかなスアンドの応援風景

試合は、投手戦。1回裏、宮古島は二番、遊撃手の野原来輝が三塁打を放ち、次の打者の投ゴロの間に生還して先制。その後は、ともに先発投手がきっちりと抑えて最終の7回へ。石垣島選抜の七番、中堅守の久貝悠斗が2アウトから出塁。相手投手のボークで進塁し、一打同点の緊迫感に包まれた。しかし、続く八番、左翼手の川上琉太が三ゴロに打ち取られて、ゲームセット。宮古島が大会初の2連覇を果たし、決勝で完封勝利を飾ったエースの花城琉伊は、大会MVPに輝いた。

大会MVPに輝いた花城琉伊

チーム名のアララガマは、不屈の精神を表す宮古島の方言。花城は「ボークを取られて焦ったけど、勝てて良かった。1回戦は、親が応援してくれたけど、決勝はほかのチームも応援してくれて雰囲気があって、テンションが上がった」と笑顔を見せた。

試合をやって、勝負が決まる。至って当たり前の話だが、多くの選手にとって、待ち焦がれていた経験だった。離島は人口が少ないため、指導者も競技者もチームも少ない。

対馬ヤマネコボーイズ(長崎)の中庭八寿彦監督が「韓国の方が近いくらいの国境の島。島内には中学生のチームが4つあるけど、次の新人戦からは3チームに減る。壱岐の島までは1時間くらいで行けるけど、それ以上遠くは費用もかかる。中学生を遠征させるのは簡単ではなく、試合経験を積めない。県大会などに出たときに、どうしても経験の少なさが影響してしまう」と話したように、少子化と過疎化の影響は大きい。(取材・撮影:平野貴也)