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【白鴎大足利】「身体の使い方」と「正しいスイングの軌道」を養うスイング練習

2017.6.26

夏の大会に向けての強化に取り組む白鴎大足利野球部の選手達

夏の栃木県大会6連覇中の作新学院を破って春の栃木県王者を勝ち取った白?大足利。前編では藤田慎二監督のバッティングに対する考え方と工夫を凝らしたティーバッティングの様子をお伝えしました。後編は他の練習法や夏の大会に向けて強化しているポイントをお届けします。


実際にボールを打つフリーバッティングと狙いに応じたティーバッティングが行われている間、隣接している軟式用のグラウンドでは藤田監督の重要視する「身体の使い方」と「正しいスイングの軌道」を養うスイング練習が行われていた。ここで使用しているのは通常のバットの倍ほどの長さがあるスイング用の棒である。

通常のバットと比較すると倍の長さがあるスイングトーレング用の棒

この棒を使ってヘッドを下げないようにスイングすることで、バットが遠回りしなくなるという。

また、長い棒を鋭く振るためには当然全身を上手く使う必要が出てくる。実際にボールを打つ以外にもこのようにして振る力を養っていた。

またキャプテンの和家将壱選手にも普段バッティング練習で意識していることや監督、コーチから指摘されることを聞くと、「一球に対して集中して一振りで仕留めること」という答えが返ってきた。そのためケージに入って最初にスイングするボール、そして最後にスイングするボールについては特に集中しているそうだ。藤田監督自身の選手としての経験からも、この点は重要視しているポイントだという。

「相手のレベルが上がるにつれて甘いボール、打ちやすいボールはどんどん少なくなってきます。そのボールを打ち損じることなくとらえられるかということが結果として大きな差になってくると思います。あと自分がよく考えていたのは体勢を崩されてからいかに打てるかということ。崩されずに打てるのが一番だとは思いますが、そういうわけにもいきません。自分のベストのスイングではなくても何とか対応してヒットにする。そういうことをよく考えていました」

一球に対するこだわりが強いことがよく分かる話だが、それが培われたのは社会人野球での経験が大きかったという。
「社会人野球の都市対抗やその予選は一部敗者復活戦はありますが、基本的には負けたら終わりのトーナメントです。特に予選の大一番の雰囲気は凄くて、本当にいつも胃が痛くなる思いをしていました。高校野球も特に夏の大会は一つ負けたら終わりですから、大学やプロよりも社会人野球に近いですよね。日程的になかなか連れていけませんが、うちの選手達にも一度都市対抗予選の雰囲気を見てもらえたらと思うこともありますね」

この日のバッティング練習の前にはピッチャーとランナーもつけてあらゆる場面を想定したケースノックに多くの時間が割かれていたが、その時にも藤田監督は1つのプレー、1点を意識するような指示を多く飛ばしていた。

例えばバント処理で投手が一塁へ少し抜けたボールを投げた時も、エラーではなかったが決して見逃さず「しっかり指にかけてくれ!(高く抜けて)グラブに届かないボールは絶対に捕れないから!ワンバウンドは止めてくれるから!(送球エラーで)二・三塁になったらヒット1本で2点だぞ!」と細かい指示を出していた。

判断が遅れる場面や迷いが見られるようなプレーにもその都度指摘することを忘れず、「夏はそういうプレーが点になるから!」、「それ(ミス)で夏負けたくねえぞ!」と夏の大会を強く意識させる声も多く聞かれた。

実戦練習では意識の面を強く指摘していたが、技術の向上に対する取り組みももちろん並行して行っている。内野手に限定したケースノックの際に外野手は一歩目の判断、スタートをノックで繰り返し練習しており、バッティング練習の傍らでも片足で小さくジャンプしながらゴロに対する入り方を繰り返し練習する光景が見られた。このような地道な練習が実戦にも影響してくるのだろう。

一球を大事にする。よく聞かれる言葉であるが、それを徹底的に意識してプレーすることは簡単なことではない。しかし厳しいトーナメントを勝ち抜くためには必要不可欠なポイントであることは間違いないだろう。改めて野球にとって一球がいかに大事かということが感じられる練習風景だった。(取材・写真:西尾典文)

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