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【監督インタビュー】高校野球名監督に聞く! 中学球児が高校で活躍するためにすべきこと 第2回:愛工大名電高校・倉野光生監督

2014.9.3

高校野球のステージに憧れを抱いている中学球児のみなさん。現役高校野球監督に、どうすれば高校野球で活躍できるかを聞きました。第2回はイチロー(現・ヤンキース)はじめ多数のプロ野球選手を輩出している強豪・愛工大名電高校の倉野光生監督に話を聞いた。

成功するカギはキャッチボールと語る倉野監督


軟式の子は右肩上がりに成長する

Q.軟式球児と硬式球児の違いは?

ここ2~3年、(硬式出身選手に比べて)軟式出身選手の体力不足を感じています。硬球かつ高校野球レベルでの試合・練習に必要な体づくりを入学後にスタートしている状況なので、硬式出身者に追いつくのに1年半~2年ほどかかってしまうケースもあります。ただ『早咲きの硬式、遅咲きの軟式』で、軟式の子は右肩上がりに伸びていくし、“原石”も必ずいます。だからこそ、中学時代に体力の底上げを!



Q.1年生から起用したくなる選手とは?

春の大会から1年生を2~3人ベンチに入れていますが、必須条件は守備力です。打つだけの選手ではフル出場できないし、どのチームも負けるときは守りのミスが原因です。捕るのが下手だとか、グローブの使い方ができていない選手、けっして少なくないですよ。今のうちから、普段のキャッチボールを大切にし、『正確に捕って、狙ったところに投げる』ことに時間をかけて取り組んでほしいです。



Q.バッティングで重要なポイントは?

打撃の基本である“逆方向”へ打つことです。右打者なら、正しいミートポイントでライト方向へ打つことですね。ライト方向に打球が飛べば、走者も進塁しやすいですから。引っ張るだけの右打者は、低目の変化球に対応できない傾向が強いです。左打者も、打率を上げるにはレフト方向へも打てるようにしておきたい。プロ選手も日々の打撃練習の際、逆方向へのバッティングから始めていますよ。

意識高く練習をする愛工大名電高校の選手たち


自ら研究する選手になろう

Q.野球に取り組む際の心構えは?

本やDVD、インターネットなどを利用したり、人に聞いたりして、自ら研究することが大事です。自分なりの『野球理論』を持てるようになるといいですね。反対に「教えられていないから分かりません」ではダメ。何が“正しい”かの判断はまだ難しくても、とりあえずやってみれば、合うか合わないかは分かるはず。名電出身の一流選手はみな研究熱心で、僕が技術を教え込んだわけではありません。



Q.中学球児へメッセージを!

テレビで中継される甲子園大会だけでなく、グラウンドや学校生活を通じての人間づくりこそが高校野球です。将来、社会で自立するための考え方や体力、マナーや人間関係をぜひ身につけてください。



◆COLUMN◆

『背中流し運動』開催中!

愛工大名電はユニークだ。過去愛知大会を制した際は、AKB48の選抜総選挙にヒントを得た倉野監督の発案により、メンバー間の投票によってベンチ入りを決めていた。また、試合当日の朝に「集中力をつけるため」と新聞のコラムを書き写す“写経”をしたことも。幅のある活動が部員の心も豊かにしてきた。最近は、寮の風呂場で先輩後輩が互いに背中を流しあう『背中流し運動』を実施中だ。「大事なコミュニケーションの一つ。相手の身になって、気持ちよく背中を流してあげよう」(倉野監督)。読者の中学球児も、機会をみつけて家族や友達の背中を流してみては?



■監督プロフィール

倉野光生(くらのみつお)監督・・・1958年生まれ。大学卒業後に愛工大名電高コーチとなりイチロー(現・ヤンキース)らを指導した。1997年に監督に就任すると、春5回、夏7回(2014年9月現在)チームを甲子園へ導き、2005年センバツでは機動力を駆使して全国優勝を果たした。登山や書道など趣味も多彩。



■チームプロフィール

愛知工業大学名電高校・・・愛知県名古屋市にある私立高校。隣接する春日井市に野球部の寮(全寮制)とグラウンドがある。春夏通算20度(2014年9月現在)の甲子園出場を誇り、2012年、13年には夏の愛知大会を連覇した。部員数は3学年合わせて毎年45人前後。工藤公康(元西武ほか)をはじめプロ球界にもOBが多い。



※ Timely!Jr #2より転載



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