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【土佐高校】トレーニングではなくボールを使った実戦中心の練習メニュー(後編)

2017.1.10

春夏合計12回甲子園に出場し、2度の準優勝(春1回、夏1回)と高知県内でも屈指の実績を残している土佐高校。伝統の全力疾走のプレースタイルに魅了された高校野球ファンも少なくない。そんな土佐高校の12月の練習を取材した。


キャッチボールが終わると、いきなり実戦を想定した練習がスタートする。繰り返し細かく行っていたのが走者をつけての内野のケースノックだ。この日は無死一塁、一死一塁、無死一・二塁、一死一・二塁、一死一・三塁と5種類の場面を想定し、投手が実際にボールを投げるところからスタートする。ノッカーは西内監督で、バントの場合はバントの構えをし、時にはそのまま投球を見送るケースもあった。守備は常にノッカーとランナーの動きに注意を払う必要があり、判断のスピードも求められる。この練習で西内監督が繰り返し選手に指導していたのが連係に必要な声かけ。バント処理の際の捕手の指示などはもちろん、ボールを要求する側の声についても「今、(ボールを)呼んだか?」、「黙って野球やったらいかん!」と盛んに声を出して指導する姿が印象的だった。

もう一つは送球について。少しでも高いボールがあると「送球は低く!」と間髪入れずに監督の声が飛んでいた。キャッチボールの時もこの後に行われた外野も守備位置についてのシートノックでも、低くて強いボールを求める声が多く、ここでも実戦を強く意識しているように感じた。

シートノックの後は昼食を挟み、午後からはフリーバッティングとウエイトトレーニングでこの日の練習は終了。12月下旬だったが体力や筋力強化ではなく、あくまで実戦を重視した練習内容に終始した一日だった。

西内監督の話ではよほど寒い日ではない限り、冬場でもボールを使った実戦練習は続けているとのこと。特に冬休みは練習時間が確保できる貴重な時期。今年は投手陣に故障者がいるためできるか分からないとのことだが、例年は紅白戦も積極的に行っているとのことだった。「冬の練習=走り込み、トレーニング」というチームが多いが、比較的暖かい気候と水はけの良いグラウンドという環境を最大限生かして実戦練習を多くする。そういう姿勢が強さに繋がっているように感じた。

同校のOBでもある楠目博之部長と西内監督は口をそろえて「(自分たちが現役の時より)部員の数が多く、恵まれている」と話す。楠目部長も「センバツに出たことはやっぱり大きかったと思います」というように、短いスパンで立て続けにセンバツ出場を果たしたことで関東から入学してきた選手もいるそうだ。大学進学を目指して勉強に取り組み、野球でも最大限の結果を目指す。そのような選手にとっては理想のチームの一つではないだろうか。(取材・文:西尾典文)



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