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【土佐高校】トレーニングではなくボールを使った実戦中心の練習メニュー(前編)

2017.1.5

春夏合計12回甲子園に出場し、2度の準優勝(春1回、夏1回)と高知県内でも屈指の実績を残している土佐高校。伝統の全力疾走のプレースタイルに魅了された高校野球ファンも少なくない。そんな土佐高校の12月の練習を取材した。


土佐高校練習風景1

2013年に21世紀枠で20年ぶりのセンバツ出場。昨年は一般選考でも出場し、古豪復活を完全に印象づけた土佐高校。毎年国公立や有名私大に進学する選手も多く文武両道でも知られる強豪校である。寮生も練習の後に補習授業の時間があるということもあり、授業がある平日の練習時間は3時間程度。そのため、冬休みのこの時期でもトレーニングではなくボールを使った実戦中心の練習メニューが多いという。

そんな土佐高校の大きな利点となっているのが2007年に完成した野球場(向陽グラウンド)。2020年の開校100周年に向けて校舎とグラウンドの大規模な工事が行われていることがあり、校舎から約5km離れた場所に建設された。特に大きいのが県内でも屈指の水はけの良さ。取材前日は12月では珍しい大雨だったものの、当日朝のグラウンドには水たまり一つなかった。また練習開始は朝8時30分だったが、その前に部員が入念に整備を行い練習開始時間の前には環境面でも完璧な状態に仕上げているところに普段から時間を大切にしている姿勢が見てとれた。

練習はウォーミングアップのランニングとダッシュからスタートしたが、ダッシュに工夫が見られた。ただ走るのではなく、合図に合わせてあらゆるスタートのバリエーションがある。

一つ目は比較的単純なもの。合図を送る選手は手を握って両腕を高く上げ、片方の手を開く。走る選手はその開いた方に向かってスタートを切るのだ。

次のダッシュはこれに切り返す動きが加わる。合図する選手は体の前で手を叩く構えをとり「せーの!」の掛け声で走る選手は投手が投げた時のような形で第二リードをとる。合図する選手が本当に手をたたけばそのままの方向にスタート、手をたたかずに空振りすれば切り替えして反対側にダッシュするのだ。

 

合図によって動きを変えることによって反応の速さが養われ、実際のプレーに生きてくることは間違いない。単調になりがちなアップやダッシュもより効果を大きくする工夫が垣間見える練習だった。

続いて行われたキャッチボールもただ肩を温めるのではなく、スキルアップに繋がる動きが見られた。特に投手陣が最初に繰り返し行っていたのがステップを固定した状態から投げるもの。

西内一人監督の話では動作改善の専門家によるドリルを取り入れているということで、投げる基本となる動きを意識するために行っているとのことだった。ここでもキャッチボールの練習を最大限効果的にする狙いが見られた。(取材・文:西尾典文)



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