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【少年野球指導者のひとり言】『故障と向き合う』ということ

2016.9.6

スポーツをやっていて「故障」はない方が良いものの、一度も故障を経験することなく選手生活を終える選手は皆無です。うちのチームにも故障している選手は居ます。中学生に多い「オスグッド」や「野球肘」「足の肉離れ」など症状は様々ですが、故障による離脱期間の長い選手にはある共通点があります。

「痛い」と言っている選手を無理にプレーさせることはできません。私は医者ではないので本当に痛いかどうかは分かりませんが、「痛い」と言っている時点で気持ちは折れているので、プレーさせるべきではないと考えています。

ほとんどの故障者は、故障患部への負荷を避けるためにメニューを限定して練習を行いますが、この「限定メニュー」の取り組み方を見ていると「この故障は長引くな」とか「また故障するな」ということが大方予想がつきます。そしてそれはフィジカルな問題ではなく、メンタル要素に原因があるように思います。

離脱期間の長い子は「俺は故障しているから仕方ない」と「故障している自分」をどこか肯定していて、「限定メニュー」に対する取り組み姿勢もどこか身が入っていません。そしてすぐにどこか痛いところを見つけて、また離脱します。一方で「早く復帰したい」と思っている選手は、仮に走れなくても上半身強化のトレーニングを人一倍取り組んでいたり、肩を痛めていたら精力的にランニングメニューに取り組んでいたりします。

「ケガしているから練習できないのは仕方ない」と思っていても自分自身は気休めになりますが、ライバルに差をつけられるという事実は何も変わりません。「今何ができるか?」「復帰するまでにどんな準備ができるか?」など、「転んでもただでは起きない」という選手はやっぱりいい選手に育ちます。

うちの故障者たちに、そういうことも教えていかなければ、と思う今日この頃です。

※Facebookページ「少年野球指導者のひとり言」より転載。


著者:廣川 寿(ひろかわ ひさし)
愛媛県出身。松山北高校時代に投手として選抜高校野球(春の甲子園)に出場。甲南大学時代は投手として阪神大学野球連盟の数々の記録を塗り替える。社会人野球まで投手として活躍。自身の息子が少年野球チームに入部したことをきっかけに学童野球のコーチとなる。現在は上場企業の管理職として働く傍ら、横浜港北ボーイズのコーチとして「神奈川NO.1投手の育成」を目標に掲げ、中学生の指導に情熱を注ぐ。


  



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