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“守備の名手”宮本慎也氏が語るアレコレ送球事情

2016.7.26


送球で最も大切なのは「足」

現役時代ゴールデングラブ賞を何度も受賞してきた宮本慎也氏。守備の基本ともいえる「構え」や「捕球姿勢」についてTimely!40に掲載されている『プロ技道場』で詳しく語っていただいた。

誌面には惜しくも載せられなかったが、取材時には送球についても興味深い話をしていただいた。

「送球で最も大切なのは足を意識して使うことです。足を素早くステップすることで、速く強いボールが投げられるようになる。そのためにも捕球後のステップは、右足を前に出すように心掛けることが重要です。そして、肩をしっかり入れて投げる。そのときに左ヒジを投げる方向に向けてあげると正確にコントロールしやすくなります。捕ってから速く投げようとして、胸を向けたまま投げてしまうとボールの力が弱くなってしまうので気をつけましょう」。


現役選手に守備の名手は……いない?

送球について話してくれた宮本氏に、続けさまに現役のプロ野球選手で高校生のお手本となる選手について聞いてみた。

近年ゴールデングラブ賞を獲得した数名の選手の名前を挙げてくれたのだが、考え抜いた結論は「誰もいない」とのこと…。

「やはりお手本にするのなら石井琢朗、井端弘和、久慈照嘉さん、奈良原浩さん、小坂誠、進藤達哉さん。これらのコーチたちの現役時代のプレー映像を観た方が良いです。守備に関しては断然昔の選手たちの方が上手かったと思います」。


キャッチボールの時間を大切に

この厳しい発言の背景にはプロ野球をはじめとした、近代野球が昔に比べ打撃重視になっているからであろう。また、少年野球教室などで指導する機会の多い宮本氏が語るには、近年のグラウンド事情が大きく影響しているともいう。

「僕らが子どものときは自由にどこでも野球が出来ました。ですが、最近はそういった場所が限られてしまう。グラウンドを使用できる時間はどんどん短くなり、いかに少ない時間の中で効率よく練習するかという考えになる。そうなる自然と練習においてキャッチボールの時間を省いてしまうんです。そういうことも影響してか、アマチュア時代からしっかりとボールを投げられる選手が少なくなっていると思います」。

宮本氏が話すように公園などでよく見かける「ボール遊び禁止」の看板。時代だからと言ってしまえばそれまでだが、近年の野球人口の減少もあり、はたまたこの先の野球の存在についても深く考えさせられた取材であった。



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