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【少年野球指導者のひとり言】「努力は必ず報われる」は本当なのか?

2016.6.24
 私は常日頃、「努力は必ず報われる」と他人に説きます。

 これは「キレイ事だ」という人も居ます。いろんな意見があると思いますが、「努力は必ず報われる」について、今日は私なりのその解釈を綴りたいと思います。

<前提>
「努力を伴わない成果」もあります。でもその成果って「一過性のもの」であったり、「そもそも大した成果ではない」というケースが殆んどです。ここで言う「成果」とは「誰でも出せるわけではない成果」や「ある程度持続性のある成果」を指します。

<上記を前提とした上での持論>
やっぱり「努力は報われる」と思います。しかし「報われる」には2つの条件があると思います。

①報われ方には「個人差」がある
スポーツの場合、「体格」「運動能力」「知能」などによって、「努力による成果の効率」には個人差が発生します。同じ量の努力をすれば、上記のような資質の差によって「成果の個人差」が発生します。同じ練習をしていても結果に差が出るのはこれが理由です。等しく報われるのであれば、みんな大谷翔平選手のようになれるということになりますが、実際にはそんなことはあり得ません。大谷選手は「努力だけではどうにもならない境地に居る選手」だと私も思います。

②直接的ではなく「間接的に報われる」ケースがある
「野球が上手くなりたい」と思って取り組む努力が「野球で報われれる」とは限りません。走り込みによって鍛え上げられた筋力を活かして、ラグビーに転向して花が咲く場合もあるでしょう。野球で得た肉体的要素や思考法などが他の場面で活かされるケースはよく有ります。私は数学がとても得意ですが、子どもの頃、小柄で体力に恵まれなかった私はレギュラーになるためにグラウンドで「合理的に思考してプレーすること」を繰り返してきました。そのことが数学的思考に生かされていると思います。

 大切なのは「評価の仕方」です。他人との相対比較ではなく、絶対値で評価することや、おおまかな「結果」だけでなく、結果を構成する要素を細かく細分化して、要素ごとに評価すること。そうすれば「報われている」と実感できる努力がたくさんあると思います。選手と一緒に丁寧に振り返り、「何が報われているか?」を棚卸しを行うことが、選手の「次なる努力→次なる成果」の原動力になると思います。

※Facebookページ「少年野球指導者のひとり言」より転載。


著者:廣川 寿(ひろかわ ひさし)
愛媛県出身。松山北高校時代に投手として選抜高校野球(春の甲子園)に出場。甲南大学時代は投手として阪神大学野球連盟の数々の記録を塗り替える。社会人野球まで投手として活躍。自身の息子が少年野球チームに入部したことをきっかけに学童野球のコーチとなる。現在は上場企業の管理職として働く傍ら、横浜港北ボーイズのコーチとして「神奈川NO.1投手の育成」を目標に掲げ、中学生の指導に情熱を注ぐ。


  


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