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【少年野球指導者のひとり言】『選手からの質問』には種類がある

2016.5.20
練習をしていると選手から「質問」を受けることがあると思います。分からないことを放置せず、解消しようとすること自体は悪くないのですが、私は「選手からの質問」には幾つかの種類があると思っています。だいたい下記の3つくらいでしょうか?

①何かに対する「理由」を知りたい時
②何かの「判断」を仰ごうとしている時
③何かの「決断」を委ねようとしている時

①は「どうして走者が1塁に居る時は右方向に打った方が良いのですか?」みたいな質問ですね。走者を進塁させるためには走者の後ろに打った方が進塁できる確率が上がるためですが、ライトが浅く、1〜2塁間が狭い時には左方向に打った方が効果的な場面もあります。「理由」「目的」を正しく理解していれば、方法を柔軟に思考することができるようになります。

②は「雨が降ってきましたが、練習は継続しますか?」といった場合ですね。団体行動である限り責任者に判断を仰ぐ場面はあると思います。その時は指導者側が最終判断をしなければなりませんが、「キミはどう思う?」など意見を求める場面があっても良いと思います。

一番厄介なのは③です。「ボールはどう握れば良いですか?」「僕の投球の課題は何ですか」など結論を求めるような質問です。こういう質問をする場合、「自ら思考すること」を放棄していたり、「決断」を委ねることで、自らの責任を回避しようとしている場合もあります。安易に答えることは「考えること」を放棄し、他人に依存したり、責任を転嫁する人に育つリスクがあると思います。私は基本的には③のような質問には「自分でどうすべきか考えてからもう一度おいで。間違っていても怒らないから」と言って一度は追い返すようにしています。

指導者の選手に対する干渉が強くなり過ぎると、選手は③のような質問をする傾向が強くなるように感じます。「教え過ぎ」は思考を停止させ、依存心を高めるリスクがあるように思います。

※Facebookページ「少年野球指導者のひとり言」より転載。


著者:廣川 寿(ひろかわ ひさし)
愛媛県出身。松山北高校時代に投手として選抜高校野球(春の甲子園)に出場。甲南大学時代は投手として阪神大学野球連盟の数々の記録を塗り替える。社会人野球まで投手として活躍。自身の息子が少年野球チームに入部したことをきっかけに学童野球のコーチとなる。現在は上場企業の管理職として働く傍ら、横浜港北ボーイズのコーチとして「神奈川NO.1投手の育成」を目標に掲げ、中学生の指導に情熱を注ぐ。


  


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