トレーニング

腕がしびれるなと思ったら重症かも・・・投球動作から引き起こす胸郭出口症候群とは?

2016.3.14

 

  十分なウォームアップとストレッチが効果的



 

野球シーズンが本格的に到来し、オフシーズンの体力づくりからボールを使った実践練習へと移行していくと、ときどき「腕がしびれるように痛いです」と訴える選手がいます。ケガなどでしばらく実戦から離れていた選手が競技復帰したときや、まだ気温の低いオフシーズンからシーズンインに移行する時期などによくみられます。投球動作では毎回腕を上げる動作を伴うのですが、こうした動作の繰り返しが痛みやしびれとなって現れることがあります。投球中や投球後の痛み・しびれ感がしばらく続くようであれば、医療機関を受診して詳しく見てもらうようにしましょう。

【胸郭出口(きょうかくでぐち)症候群とは】
心臓と肺を囲んでいる骨格(胸椎・肋骨・胸骨)部分を「胸郭」と呼びます。「胸郭出口」とは心臓からの血管が胸郭から腕へと出ていく出口部分を指し、一般的には鎖骨と肋骨のすき間部分のことをいいます。この胸郭出口は血管や太い神経の通り道となっているのですが、すき間が小さく、腕を上げる動作を行うとさらにすき間が狭くなることが知られています。投球動作を繰り返すたびに血管や太い神経はこの胸郭出口で圧迫されることになり、頻繁にこの状態を繰り返すと上腕だけではなく、手や首、肩の痛みが起こったり、しびれや冷感を伴うようになります。投球動作を繰り返す野球選手は、こうした胸郭出口症候群になるリスクが一般の人よりも高いと考えられています。

 春先にこうした症状がよくみられる原因としては、もともと気温が低下していることに加えてウォームアップ不足や、肩周辺部の筋力低下などがあげられます。また上体だけで投げる動作を繰り返すと、必要以上に肩をすくめて筋肉を緊張させてしまい、肩周辺部の動きに影響を及ぼしますので、体全体を使った投球動作を行うように心がけましょう。さらにオフシーズン時のトレーニングで必要以上に上肢のトレーニングを繰り返し、大胸筋や三角筋などが発達したことでスムーズな投球動作が再現できなくなってしまうことなども指摘されています。バランスよく身体を鍛えることもこうした症状を予防することに役立ちます。

 こうした症状がみられる場合は、身体を温めて血流を良くすることを心がけましょう。練習前の十分なウォームアップはもちろんのことですが、練習後や入浴後など身体が温まっている状態で、肩と首周辺部のストレッチを行うことも効果的です。

  十分なウォームアップとストレッチが効果的




  



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