トレーニング

制球力を向上させるための投球動作改善(32)

2016.3.9

 こんにちは。リトルロックハート(野球塾)の大友です。
 32回目となるK君のコーチングは、軸をテーマにして進めていきました。

 軸という言葉は野球界でも多用されていますが、でもこの軸、実は2種類あるのをご存知ですか?一つ目は体軸。これはまさに体内の軸であり、脊柱(背骨)のことです。そしてもう一つは運動軸で、これは体軸と同一になることもあれば、体軸とは分離していく場合もあります。

 投球動作でこれを見ていくと、サイドハンドスローの場合は体軸と運動軸が同じ場所に来ます。そのためボディスピンが他の投げ方よりも鋭くなり、サイドハンドスローは球速を最も速くできる投げ方となります。

 一転オーバーハンドスローの場合は少し違います。体軸と運動軸が分離することが多くなります。どのように分離するかと言いますと、体軸はもちろん脊柱ですので体内で移動することはありません。しかし運動軸に関してはボールリリースの段階になると、左肩と右股関節(右投手の場合は右肩と左股関節)を結んだラインが運動軸となるのです。

 オーバーハンドスローはこのように2つの軸が分離しますので、ボディスピンがサイドハンドスローと比べるとやや緩くなります。そのため球速は最大限までは出ないのですが、しかしバックスピンの角度を垂直に近づけられるためマグナス力がアップし、空振りを取れる伸びのあるストレートを投げられるようになります。ちなみにスリークォーターは、まさにサイドハンドスローとオーバーハンドスローの中間点ということになります。

  サイドハンドスローの軸

  オーバーハンドスローの軸


 1枚目のK君の写真はサイドハンドスローで、2枚目の写真はオーバーハンドスローで投げた際の軸です。サイドハンドスローでは脊柱軸=運動軸となっていますが、オーバーハンドスローでは脊柱軸は右手側に大きく傾き、運動軸が垂直になっています。

 K君の場合は現在はサイドハンドスローで投げていますので、体軸と運動軸は同じ位置で動き続けます。そのためオーバーハンドスローで投げる時と比べると、球速も3〜5km/h程度速くなります。

 軸を上手に使いこなせるようになると、球速を上げる作業も少し楽になります。しかし軸を上手に使うためには体幹を鍛える必要があり、体幹が弱いと軸を安定させることはできません。腕力を使わずに球速をアップさせていくためにも、軸を安定させられる程度には体幹を鍛え、その体幹を上手く使えるようになってください。

 そして腕力を使わずに速いボールを投げられるようになれば無駄な動作も減りますので、制球力もアップしていくことになります。読者の皆さんも球速は腕力でアップさせることはせず、K君が取り組んでいるように下半身や体幹を上手に使ってアップさせていくように心がけてください。そうすれば故障のリスクを軽減させることもできますよ。




  



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