トレーニング

「集中しろ」という言葉で子どもを集中させることはできません

2015.1.6

パーソナル投手コーチとして東京から全国に出張コーチングを行う、リトルロックハート・ベースボール・ラボラトリーのコラムがスタート。野球の技術を中心に、指導に悩む現場の指導者の方々、保護者の方々に上達のヒントをお届けします。


 少年野球の指導をする中で「集中しろ!」と怒鳴ってしまっていることはありませんか?実はこれは選手を萎縮させてしまうだけで、子どもたちの集中力にはほとんど繋がらない言葉なのです。そもそも「集中しろ」というアドバイスだけで集中することができれば、世の中は一流だらけになってしまいます。もちろん「集中しろ」という言葉だけで集中できる選手もいるわけですが、それはごく少数です。

 だからこそ指導者は、子どもたちの集中力を引き出すための引き出しをたくさん用意しておく必要があるのです。例えばその中の一つに、タイムマーキングという作業があります。これは練習中に、タイミングを合わせて数を数えさせることにより、子どもたちの集中力を引き出す作業です。ノックを打っている時ならばノックを打った瞬間に「イチ!」、ゴロをキャッチした瞬間に「ニ!」、送球する瞬間に「サン!」、一塁手がキャッチした瞬間に「ヨン!」という風に、子どもたちに声を出して数えさせるのです。

 声を出すことは意欲を高めることに繋がります。そしてタイミングを合わせて数を数えるという作業は、集中力を使わなければできない作業です。つまりタイムマーキングという作業は、練習に対する意欲と集中力を同時に引き出すことのできる一石二鳥の練習法なのです。

 タイムマーキングはもちろんノックだけではなく、フリーバッティング、ティーバッティング、キャッチボールなど、どのような練習にも取り入れていくことができます。子どもたちを萎縮させることなく逆に集中させ、それにより上達速度を速め、もっと野球を好きになっていける環境を整えるためにも、ぜひ一度タイムマーキングを取り入れてみてはいかがでしょうか。

 ちなみに集中力の欠如と体の萎縮は、プレー中に転んでしまったり、選手同士で衝突してしまったりと、不用意な怪我を引き起こすこともあります。そのような怪我を防ぐためにも、指導者の皆さんには子どもたちの集中力を高めるための引き出しをたくさん持ってもらえたらと思います。



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