トレーニング

子どもたちの上達を速めるには大人たちの伝え方が大切

2015.1.7

パーソナル投手コーチとして東京から全国に出張コーチングを行う、リトルロックハート・ベースボール・ラボラトリーのコラムがスタート。野球の技術を中心に、指導に悩む現場の指導者の方々、保護者の方々に上達のヒントをお届けします。


 子どもたちは、思っている以上に大人の言葉を理解している時もあれば、思っている以上に理解できていない時もあります。特に動作の細かい指導をしている時は、例え頭では動きを理解できていたとしても、それを体で表現するとなると難しいという子が少なくありません。そういう時のために指導者は、指導したい動作を子どもたちがイメージしやすい例をたくさん用意しておく必要があります。

 例えば一昔前であれば、投球時の理想の腕の振り方は、水銀の体温計を振るように腕を振ると理想に近づく、というアドバイスがよくされていました。しかし今の子どもたちは水銀の体温計など見たことがない場合がほとんどです。ですのでそういう場合は、公園にターザンロープという遊具が時々置いてあるのですが、それを例にすると子どもたちも頭の中でピンと来て、正しい動作を簡単に取っていけるようになります。

 まずターザンロープを傘をさすような形で持って、そこから軽く前方に振り出し、その反動を使って大きくテイクバックさせていきます。ここまでできたらあとは投球動作と同じ形で、テイクバックからの反動を使ってロープを前方に投げていきます。この時ロープを吊るしている滑車がブレて、ロープがスムーズに進んでいかない時は、投球動作のタイミングが良くないということです。良い投球動作でロープを投げ進めることができれば、ロープは勢い良く真っ直ぐ進んでいくようになります。もし近所の公園にターザンロープがあるようでしたら、この練習法は非常にオススメです。

 その他としては、陸上競技の槍を持っているつもりでボールを投げるというアドバイスや、ボクシングのコークスクリューパンチのような動きでボールを投げるというアドバイスも効果的です。実際の野球用語として、ボールをリリースする瞬間の動作をパンチングと表現することも多く、パンチと投げる動作には共通点が多いのです。

 子どもたちには知識をダイレクトで教えるよりも、正しい動作をイメージしやすい例を挙げてあげることで習熟度が高まることが非常に多くなります。リトルロックハートのコーチングでも、小学生のマンツーマンコーチングを行う時はこのような例を豊富に挙げて、専門用語を理解できなくても子どもたちがその適切な動作をイメージしやすいように指導を行っています。ぜひ皆さんも選手個々の趣向に合わせた例をたくさん持てるように、まずは選手を観察するところから始め、そこからどんどん引き出しを増やしていってみてください。



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