トレーニング

手投げになりにくいアドバイス方法

2015.1.27

パーソナル投手コーチとして東京から全国に出張コーチングを行う、リトルロックハート・ベースボール・ラボラトリーのコラムがスタート。野球の技術を中心に、指導に悩む現場の指導者の方々、保護者の方々に上達のヒントをお届けします。


 「もっと腕を振れ!」と指導した経験はきっと誰にでもあると思います。プロ野球でも普通に使われるこのアドバイスですが、しかし選手によってはこのアドバイスがパフォーマンスを低下させてしまうこともあるんです。

 しっかりと下半身を使って投げられている投手だったとしても「もっと腕を振れ」と言われることによって上半身投げになってしまう場合があります。確かに腕をしっかり振ることは大切なのですが、指導者がそれを強く意識させ過ぎてしまうと選手の意識は上半身に集中してしまうようになり、手投げになってしまうことがあるため、要注意です。

 投球技術理論をしっかり勉強された方ならば「腕は振るもの」ではなく、下半身・体幹・非投球腕による一連の動作によって「振られるもの」であるということをご理解いただいていると思います。極端な話ではなく、下半身・体幹・非投球腕の動作が適切であれば、投球腕は理想的な形で自動的に振られていくんです。

 もし選手を見ていて腕があまり振られていないことが気になるようでしたら、投球腕側の肩を捕手に向けるようにアドバイスしてみてください。

 セットの時であれば、投球腕側の肩は二塁方向を向き、非投球腕側の肩は捕手方向を向いています。投球動作を進めるにおいて、この両肩の位置を入れ替えるように指導をしてあげてください。つまり投げ終わったら投球腕側の肩が捕手方向を向き、非投球腕側の肩が二塁方向を向く形です。注意点としては投げ終わった時も、非軸足をベタ足でしっかりと踏ん張って立つようにアドバイスしてあげてください。

 もう一つの表現方法としては、例えば右投手であれば最初三塁側を向いている胸を、投げ終わったら一塁側に向けていく、という風にアドバイスすることもできます。この時ももちろん投げ終わったら非軸足でしっかり踏ん張って立つことが重要です。

 この形を取ることができれば、腕だけを一生懸命振ることにはつながりにくくなります。つまり腕がしっかり振られるようになり、なおかつ手投げにもなりにくいということです。ぜひこのアドバイス方法を指導現場でお役立てください。



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