トレーニング

コーチと選手の絆を一瞬にして壊しかねない「下手くそ」という言葉

2015.1.29

パーソナル投手コーチとして東京から全国に出張コーチングを行う、リトルロックハート・ベースボール・ラボラトリーのコラムがスタート。野球の技術を中心に、指導に悩む現場の指導者の方々、保護者の方々に上達のヒントをお届けします。


 子どもたちは、実は大人があれこれ言わなくても自分ができていない点をある程度理解しているのです。それができていないことにより、例え他に良いものを持っていたとしても、なかなか自信を持てずにいることもあります。そんな時に大人がわざわざ「お前はこれができていないな」とか「お前はこれが下手くそだな」とか言ってしまうと、それは子どもにとっては追い打ちでしかないわけです。

 指導者は選手に対し「下手くそ」という表現を使う必要はまったくありません。できていないからこそ、下手くそだからこそ、指導者が上手くなる方法を「明確に」アドバイスしてあげる必要があるのです。「下手くそ」と言っていいのは指導者ではなく、ただの野球ファンだけです。

 少年野球に限らず試合中は相手選手への野次は禁止されています。もし試合中に相手選手に対し「下手くそ」と野次を飛ばしたら、審判から厳重注意を受けるはずです。そして最悪の場合、試合中であっても退場処分を受けるはずです。それなのになぜ一部指導者は、自分の教え子に対し平気で「下手くそ」と言ってしまうのでしょうか。

 小学生選手の多くは下手くそです。それは当然です。でも大人のコーチであってもプロ野球選手と比べるまでもなく、シニアリーグの中学生選手よりずっと下手くそですよね? 野球が上手い方ほど、選手に対し「下手くそ」という言葉は使いません。その理由は謙虚な選手ほど自分のウィークポイントを克服しようと懸命に努力をし、上手くなっていったからです。

 ではできていない選手に対しては、どのようにアドバイスをしたら良いと思いますか?

 まずその選手ができている点をたくさん見つけてあげてください。そして「君はこの点がすごく上手だね」と認めてあげます。そのあとで「こんな風にこれもできるようになったら、もっと上手くなれるよ!」という風に言ってあげます。そうすれば小学生選手のやる気は俄然アップしていくはずです。

 子どもというのは、大人に認められたいという思いが強いんです。ですのでその子ができている点を明確に、もっと言えばその子が見て欲しいと思っている点を正確についてまず褒めてあげる(認めてあげる)ことが重要なのです。そうすればコーチと選手の絆はさらに強くなっていくはずです。そしてその絆を一瞬で壊しかねない言葉が「下手くそ」だということを覚えておいていただけたらと思います。



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