トレーニング

タメが利いた時の感覚を子どもたちに体感させてあげよう

2015.1.30

パーソナル投手コーチとして東京から全国に出張コーチングを行う、リトルロックハート・ベースボール・ラボラトリーのコラムがスタート。野球の技術を中心に、指導に悩む現場の指導者の方々、保護者の方々に上達のヒントをお届けします。


 今回のコラムでは「タメ」を作るためのかんたんな練習方法をご紹介したいと思います。「タメ」に関しては『子どもでも理解しやすいタメという動作の説明』で解説済みですので、そちらの記事を参考にしていただければと思います。

 まず普通に、上半身の動作を省いてシャドーピッチングをさせてみてください。つまり非軸脚を振り上げて、並進運動をして、振り上げた脚の足部を接地させるまでの動作です。上半身の動きはなしで構いません。その動作を子どもたちに行わせ、選手一人一人の非軸足接地時の足音をチェックしてみてください。

 タメが利いている選手の場合、足音が大きくなります。逆にタメが利いていない選手の場合はほとんど足音はしません。用語的に説明をするとタメが利いている選手はヒップファーストフォールという適切な動作となり、タメが利いていない選手はヒップファーストウォークという動作になってしまいます。フォールは落ちるという意味ですので、歩いてはいけないわけです。

 では今度は、振り上げた脚の膝を最高点で両手で押さえてください。その状態のまま並進運動を少しずつ進めていき、ギリギリつんのめらない程度のタイミングで両手を離し、非軸足を接地させていってください。そうすればさっきは足音がしなかった選手でも、今度は大きな足音が鳴るはずです。

 この足音の大きさは位置エネルギーの強さを表していて、位置エネルギーは球速アップに直結するものです。ですので非軸足の接地の衝撃は、大きければ大きいほど球速はアップしやすいということになります。

 ですが注意点としては、地団駄を踏むような真上から真下へ足を動かす形で足音を大きくしてはいけません。あくまでも飛行機のような滑らかな着地の形で足の裏全体を同時に接地させます。この時つま先の前に土が飛ぶような形になると、良い形ができている一つの目安ということになります。

 この練習によって、タメが生まれた時の運動の強さをかんたんに体感できるようになります。子どもたちは実際の感覚を体感することにより、上達速度が一気にアップしていきます。正しい動作を細かく指導することも大切ですが、しかし時には動作云々よりも、良い動作ができた時にはどんな感覚があるのかということを先に体感させてあげると、それは百の言葉よりも大きな効果を発揮することもあるんです。



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