トレーニング

制球力を向上させるための投球動作改善(28)

2016.1.6

 こんにちは。リトルロックハート(野球塾)のコーチ、大友です。
 28回目となるK君のコーチングは、サイレントピリオドについて詳しく解説していきました。

 サイレントピリオドという言葉を聞いたことありますか?これは運動生理用語なのですが、平たく言えば「力を抜く」ということです。わたし自身コーチングでは、高校生以上にはサイレントピリオドという用語を使って説明するのですが、小学生や中学生になったばかりの選手に対しては「力を抜く」とか「リラックスする」という言葉で指導しています。

 K君の場合は大学生ですので、もちろんサイレントピリオドという言葉を使い解説をしていきました。サイレントピリオドとは、筋肉の活動を0%にする、もしくはそれに近い状態にすることを言います。そして生理学的にサイレントピリオドが発生した直後の筋肉は、最大限の力を発揮できるようになるんです。

 投球動作に於いてサイレントピリオドは、テイクバックの最深部で発生させていきます。テイクバックの最深部とは、肩関節が最大内旋状態になったポイントです。ここでサイレントピリオドを発生させられると、コックアップしテイクバックを迎え、アクセラレーション・フェイズ(ボール加速期)で筋肉の活動を最大限引き出せるようになるんです。つまり最大限ボールを加速させてから投げられる、ということですね。

  サイレントピリオドを発生させたいテイクバックの最深部


 ちなみに150km/hのストレートを投げた際の手部の移動速度は、せいぜい110km/h程度なのですが、これが手部110km/hまで行けるか、それとも手部100km/hの球速140km/h程度で留まってしまうかは、まさにテイクバックの最深部でサイレントピリオドを発生させられるか否かによって左右されるわけです。

 テイクバックでサイレントピリオドを発生させるコツは、セットやワインドアップの位置から、慣性を使ってテイクバックの形を作ることです。慣性とは振り子の動作で得られるエネルギーのことです。プロ野球選手で、体は細いのに速いボールを投げられるピッチャーがたくさんいますよね。彼らはまさにテイクバックで一切の力みをなくすことにより、ボールを上手に加速させることができているんです。

 細身のK君にも、細い体であっても速いボールを投げられるように、テイクバックではとにかく力みをなくすように指導をしています。サイレントピリオドという用語自体はそれほど大事ではなく、読者の皆さんにはとにかく「テイクバックでリラックスすると球速がアップする」ということだけ覚えていただけたらと思います。




  



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