「甲子園では男子に匹敵するほどの感動を与えたい」
Key Player

2018年のジャイアンツカップ優勝投手として一躍話題に。大手スポーツメーカーのCM出演や今夏の男子硬式野球兵庫県大会開幕戦で始球式の大役を任されるなど、今後の女子野球界を牽引していく存在のひとりだ。
力強く振り下ろす右腕から投じられる120キロ中盤のストレートと多彩な変化球を武器に絶対的エースを務める、今大会最注目右腕の島野愛友利投手。バッティングにおいても今年の選抜では三番打者として打線の中軸を担い、プレーでチームを引っ張る副主将だ。「対策よりもスキルアップに力を入れるのが弘陵の野球」と話し、オリックス・バファローズの山岡泰輔選手や山本由伸選手のような力強さの中にしなやかさのある身体の使い方を研究中。寮生活による栄養管理、背筋や下半身の筋力トレーニングなどを行い、高校野球生活の集大成へ闘志を燃やしている。

兄2人はそれぞれ大阪桐蔭と履正社在籍中に甲子園の土を踏んでいる。大淀ボーイズの元チームメイトの活躍にも刺激を受けた。
「甲子園で女子も男子に匹敵する感動を与えられる野球がしたい」と決勝進出に意欲をみせた。女子野球の将来を背負う島野の気迫あるプレーに注目だ。
Support ケガを乗り越え、チームを全力で支える
女子野球最多規模の64人の部員をまとめる小林主将。選抜大会期間中、右膝に違和感があり大会閉幕後に病院を受診。診断の結果は、3度目の前十字靭帯の断裂だった。医師からは「夏まで野球を続けると、その後の人生で歩行困難になる可能性がある」と告げられプレーすることを断念。

平日は14時から約4時間、休日は半日、今まで通り主将としてグラウンドで過ごす。練習指示や声掛けに加え、ノッカーへのボール渡しなど、右足に固定具を装着した状態でできる限りチームをサポートしている。 「ランナーコーチやベンチにいる部員も含め、みんながいてチームが成り立つ。プレーができなくても力になれる」。
チームメイトへ診断結果を伝えたとき、「絶対に甲子園へ行こう」と涙ながら誓った。チームの目標達成のため、大切な仲間と笑って夏を終えるため、最後まで全力で主将としてチーム支える。
OGの現役阪神選手 侍ジャパン女子代表OGも母校へ熱視線
「高校生の頃はまだ幼かったので、石原監督が怖いし、怒られて『なにくそ!』と思うこともあったけど、監督の元で3年間野球ができたことが一番の思い出。OG(2期生)として現役選手に甲子園の土を踏んでほしいし、勝ってほしい。あっという間の高校3年間を悔いなく過ごして欲しいです」。

(取材・文/喜岡 桜 写真/井上満嘉)