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女子も高校野球の聖地・甲子園を目指せる時代へ 〜私たちのナツタイ 2021 神戸弘陵学園高校 女子硬式野球部〜

2021.7.10

「笑耐夢(Show Time)」をスローガンに掲げ、5年ぶり2度目の夏王者奪還を狙う。石原監督の男子同等レベルを求める厳しい指導で鍛えられる精神力と持ち前の明るさで、2年ぶりに開催されるナツタイで全国の頂点へ駆け上がる!


神戸弘陵学園高校 女子硬式野球部

神戸弘陵学園高校って?

男子校として1983年開校。2014年の特進文理コース・体育特選コース男女共学化に伴い、女子硬式野球部と女子サッカー部が創部された。学内の強化クラブに指定されており、全国大会出場やプロ選手を輩出するなど、輝かしい成績を収めている。1期生25人から始まった女子野球部は、創部翌年の選抜大会で準優勝。創部3年目の選手権大会決勝では、女子高校野球最古の歴史を誇る神村学園(鹿児島)に12-1で勝利。念願の日本一を達成した。

School Data

監督/石原康司 
部長/城戸翔平 部員数/3年生17人、2年生24人、3年生23人
創部2014年。6度の全国制覇を誇る強豪校(春2回、夏1回、秋3回)。主なOGは、水流麻夏投手(阪神タイガースWomen)、川中もも内野手(埼玉西武ライオンズ・レディース、神戸弘陵教諭)など。

創部8年で全国制覇3回 愛される女子野球部


坂道を登り校門に立つと、打球音やお互いを鼓舞する大きな声が聞こえてくる。来訪者を出迎えてくれるのは女子硬式野球部だ。創部3年目に初の全国制覇を達成し、春夏と秋のユース大会を合わせて6度の日本一に輝いた。女子野球部専用のグラウンドが校舎横に完備され、OGからの寄付などにより立派なベンチやブルペン、ボルダリングや綱登りなどのトレーニング設備も充実している。


対戦相手に敬意を込めて行う“礼”の練習。高さを揃えるのがコツ。


練習の合間に選手同士で声を掛け合い笑みがこぼれる場面も。

エースの島野は「中学生に戻って進路選びをやり直せるなら次も絶対に神戸弘陵」と断言した。父娘二代や兄妹揃って同校へ入学している部員がいるなど、在校生はもちろん卒業生にもとても愛されているのだ。

2年ぶりに開催されるナツタイが7月に開幕!



3連覇をかけて挑んだ今春の選抜大会は、準決勝で履正社(大阪)に0-4で敗退。初回から各イニングで出塁するも打線がつながらず、投げては先発した島野が3回裏に中越適時打を許し3失点。島野対策をしっかり練ってきた履正社を前に、本来の実力を発揮できなかった。四番で2年生の正代は「宿舎に帰ってから悔しくてずっと泣いていた。先輩たちの足を引っ張らないため夏までにさらにバッティングを磨きたい」と意気込む。不完全燃焼に終わった春の敗戦を絶対無駄にはしない。

一人1日300スイングは全部員共通の最低ノルマ。

昨夏は新型コロナウイルスの感染拡大により夏の大会が中止に。最後の夏を迎えられなかった先輩たちのためにも、今年の夏は甲子園の舞台へ立ちたい。

6月4日にオンラインで組み合わせ抽選会が実施され、初戦は大会2日目に佐伯(広島)と対戦する。副主将の今方は「大会まで残り2カ月しかないので、自分たちができることを精一杯取り組み、全力で大会に挑めるようにしっかり練習をやっていきたい」と語った。

女子野球部の監督として “甲子園”という聖地復帰へ


創部1年目から采配を振る石原監督は、同校男子硬式野球部を2度甲子園へ導き、現中日ドラゴンズの山井大介選手を含む8人のプロ野球選手を輩出している名将。1994年春には1回戦で滝川西(北海道)との延長10回のシーソーゲームを制し、勢いそのままにベスト8まで勝ち上がった。 


選抜で四番を務めた正代絢子選手は軸がしっかりとしたスイングの持ち主。


沖縄県から越境入部している宮城夢叶(ゆめの)選手。堅実な守備が評価されレギュラーを奪取。



今年の選手権大会で決勝戦まで勝ち進めば、男子・女子硬式野球部それぞれで甲子園出場を果たした史上初の監督になる。石原監督は「女の子でも甲子園で野球ができることが嬉しく、喜びでいっぱい。選手たちにあのグラウンドでプレーする楽しさを噛み締めてほしい」と頬を緩ませた。今春の兵庫県大会で1回戦から明石商業・東播磨・加古川北の強敵を相手に3試合連続でコールド勝ちし3位の成績を収めた同校男子野球部とのアベック出場にも期待が高まる。  

自身が最後に甲子園のグラウンドに立った1999年以来、22年ぶりの聖地へ。今年は例年以上に身の引き締まる夏が7月24日に開幕する。


部員たちが掲げる全国制覇の目標を叶えるため厳しい言葉で指導する石原監督。

Close up ! 保護者も安心の完全下校時刻



早朝5:30起床に朝練、放課後はみっちり部活動と、一般的な男子野球部と大差のないタイムスケジュールだ。しかし完全下校時刻は18:30と、遅くまで練習はさせない。理由は『女の子に暗い夜道を歩かせたくない』という普段は厳しい石原監督の優しさがにじんでいる。全寮制ではないため県外の自宅から通っている部員もいて、保護者は石原監督の気遣いに大変感謝している。

現在は感染症対策のため、帰寮するとアルコール消毒と検温結果を記入が必須。食事、洗濯、入浴、野球ノートの記入、勉強と自主練が終わるとすぐに消灯時刻がやってくる。寮内では就寝時もマスクを着用し、感染症予防とクラスターの発生防止を徹底している。


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