都市対抗野球も無事終了し、激動のシーズンの野球もそろそろ閉幕。2020年はすべての野球に関わる人々が新型コロナウイルスという存在に翻弄された1年となりました。タイムリーでは「かつてない夏」に直面した高校球児たちが奮闘する姿を取材し、書籍にさせていただいています。よろしければ、手にとってみてください。年末年始の読書にどうぞ！
幻となった甲子園…かつてない夏に球児たちは何を考え、何を残したのか?
「打倒私学」を掲げ、甲子園出場を目標にしていた公立校野球部員たち。
“特別な夏”を乗り越えた彼らが描く6つの青春ストーリー
史上初の選抜大会の中止から始まり、夏の甲子園大会の中止。世界的なコロナウイルスによるパンデミックは、高校野球球児の夢を次々と奪っていった。高校3年生にとって、最後となる2020年の夏はどのように始まり、そして過ぎていったのだろう。今回取材したのは、すべて公立校だ。公立校のほとんどは、まずは高校生活があり、そのなかに野球がある。
この「教育」優先の理念が、公立高校の良さである一方で、「甲子園」の舞台に立つことを困難にもしている。だから彼らは「甲子園」とは何かを、ずっと突き詰め考えてきた。やはり「甲子園」は公立高校にとって叶わぬ夢なのか。ところが2020年、私学にも公立にも等しく襲ってきたコロナウイルスの脅威。甲子園の舞台を高校球児すべてが失った。そして彼らは気付くことになった。野球に向き合い、チームメイトと向き合い、選手と向き合い、ひたすらに駆けてきた3年間こそが、「甲子園」ではないかと。
本書は、2020年という特別な夏に挑んだ、6校の物語だ。それぞれの「甲子園」のきらめきが描かれている。彼らの想いを知り、そのとき何を選び残したのかに思いを馳せてほしい。（はじめにより）
◎都立小山台高校［東京都］
～全員で前を向き「甲子園の心」を求めて結束〜（文・樫本ゆき）
甲子園大会中止の決定を受けて、気づいた「甲子園の心」。3年生のチームテーマ「氣繋」を胸に全員で戦い、日本一良いチームを作る。
◎市立仙台商業高校［宮城県］
〜100代目のチームへ渡したバトン〜（文・田口元義）
創部99年目の3年生が失った甲子園を賭けた戦い。しかしどんな状況でも3年間の野球生活を貫くことこそが野球部の伝統であり、次世代へのバトンとなる。誇りを持って闘った99代目のチームの姿を追う。
◎県立西尾東高校［愛知県］
〜選手のための野球をする いつもと変わらない夏〜（文・西尾典文）
勝つために努力する結果が、甲子園。周りの状況に流されず自分たちで前を向いて一つひとつ進んでいくだけ。公立校らしくのびのびと好きな野球に打ち込んだ3年生の悔いなき戦いは終わった。
◎県立相模原高校［神奈川県］
〜強豪私立を倒すには「束になって戦え! 」〜（文・大利 実）
選手は切磋琢磨し互いを高め、ベンチ入りから漏れた選手は自分の役割を理解してサポートする。みんなで戦うという固い意志でひとつになる強さ。その姿を後輩たちに見せることができた夏だった。
◎府立大冠高校［大阪府］
〜落ち込んだ甲子園中止と3年生全員で勝つ決意〜（文・喜岡 桜）
レギュラーメンバーに入れなくても、手を抜かずに一生懸命練習してきた27人の3年生。休校中に自分と向き合い、磨きをかけたスイングで、最後の戦いに挑んだチームの物語。
◎県立上尾高校［埼玉県］
〜野球部の伝統とプライドを継承〜（文・中里浩彰）
選手たちが「気持ちを揃える」ことができたとき、チームは戦う集団となるはずだ。その信念のもと、選手一人ひとりに向き合い指導する。
