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健大高崎が5本塁打で決勝進出。夢をバットに乗せる「打つのが大好きな子どもたち」

2020.11.1

関東大会準決勝は31日、健大高崎が5本の本塁打を含む14安打の猛攻で2年連続の決勝進出を果たした。ここまで2試合連続完封の専大松戸はエース深沢鳳介が抜けた球を打たれ、勢いを止められなかった。決勝は今日、千葉県野球場で10時から健大高崎―常総学院のカードで行われる。

(写真)堀江晃生(左)と森川倫太郎は「今日は2人で1発大きいのを打とうぜ!」と言い合って有言実行した


高く上がった打球が、両翼98mの外野フェンスを次々と越えていく――。

3回、3番・櫻井歩夢(2年)が左越えソロ。

4回、6番・森川倫太郎(2年)が右越えソロ。

5回、4番・小澤周平(2年)が右越え2ラン。

6回、1番・堀江晃生(2年)が右越えソロ。

7回、8番・綱川真之佑(2年)が左中間ソロ。

健大高崎がこの日、5本もの本塁打を記録した。4本は、ここまで2試合18回無失点の好投を見せていた専大松戸エース・深沢鳳介から打ったものだ。

深沢は「今までとはバッターの振りが違った。甘い球が行くと打たれると思った。低めへの振らせる球を振ってもらえず、ストライクを取りに行った球をミートされた。(ここまで本塁打を打たれるのは)…記憶にないです」。完敗を認めるしかなかった。

「深沢君は非常にいいピッチャーなので3点くらい取れて、3-2くらいで勝てればいいなと思っていました。びっくりしています」

健大高崎・青栁博文監督は驚きの声をあげつつも、実は、この代の選手たちのポテンシャルを入学時から感じていた。「この代は打撃のチームでいこう」と決めていたと言う。下慎之介―戸丸秦吾のバッテリーで関東大会優勝、神宮大会準決勝進出を果たした前チームと比べても「今の段階では、打撃は上」と評する。

「打つことがみんな大好きで、練習時間も打つ時間が長い。のびのび、楽しくやっています。子どもたちは『先輩を越えたい』と言っていますので、明日も全員が一丸となってやってくれると思います」。2連覇へ。あと1勝となった。


「機動力破壊」から「打撃革命」へ。歓迎すべき変革


最後は8番綱川真之佑が左中間ソロを放ち7回コールドサヨナラ勝利。2年連続の決勝進出だ

「打つことが大好きな子どもたち」

野球をやっている子どもなら、誰もが試合でホームランが打ちたいと夢見るものだ。

この代の選手たちには「いい出会い」があった。昨年4月、野球部に赤堀佳敬コーチが就任した。この出会いが運命を変えた。赤堀コーチは「わんこそば打線」(強打線)で知られる盛岡大附属・関口清治監督から打撃論を学んだ経験を持つ。すぐに1年生(当時)の育成担当となり、つきっきりで打撃を指導してきた。その結果、わずか半年あまりで20人以上の1年生がサク越えを放つようになった。

「ライン(軌道)に乗せて平行に打つ、ということを共通テーマにして打撃練習を行ってきました」。通算32号を打った、キャプテンで4番の小澤が胸を張る。「軸足にしっかり体重を乗せて、右足を前重心にして打てばこの身体(身長172cm・79kg)でも飛ばせます」。


5本のアーチが飛び出した健大高崎。主将で4番の小澤周平も通算32本塁打を放った

4カ所バッティングでは、6~8m手前から打撃投手に投げてもらい、対応力を磨いてきた。

19号を打った森川は「赤堀さんに教えてもらったのはタイミングの取り方です。ピッチャーの始動に合わせて腕を動かして、ピッチャーの腕の振りに合わせてバットを出す。今はノーステップ打法を自分で選んで打っています。これまで打撃について深く考えることがなかったけど、赤堀さんに出会って意識がガラリと変わりました」と話す。

先制のホームを踏んだ堀江も同じだ。「昨年の冬にスイングする力をつけました。試合では全球打ちに行くつもりでいって、狙い球じゃなかったら見逃す。今日も低めの変化球を見極めることができました。僕ら左バッターがキーになると思っていたので打ててうれしい」と笑顔を見せた。

ラインに乗せる意識と、同調。この方法で33人いる2年生の打撃力が格段にアップ。なんとなく数え始めた合計ホームラン数はこの日の5本で「204本」に達した。森川は「赤堀さんや、打撃投手をしてくれるメンバー外の選手へ打って恩返ししたかった」と感謝する。

本格的な打撃革命に挑んでいる健大高崎。全国区になった「機動力」に固執せず、「打撃」で相手にプレッシャーをかけていく。「選手が良くなるためなら、チームカラーはどんどん変わってもいいんです」。青栁監督は大きな変革を歓迎する。

「単打、単打でつなぐのも大事ですが、こっち(長打)のほうが自分たちに合っている。見ている人もこっちのほうが面白いと思うんです」と身長172㎝の堀江。目を輝かせて続けた。「オリックスの吉田正尚選手が大好きなんです。ホームラン動画を何回も見てしまう。小さい身体でも遠くに飛ばせるんだってところを、自分も見せたいです」。

見ている人に夢と勇気を与えるのがホームランだ。その魅力を、力を、選手たちがバットで伝え続ける。


1番堀江晃生の好きな選手はオリックスの吉田正尚。身長が高くなくとも本塁打が打てるところに憧れる


2桁背番号(13)ながら、今大会好調の6番森川倫太郎。豪快なスイングで打球を飛ばす


第73回秋季関東地区高等学校野球大会
▽準決勝(10月31日・千葉県野球場)
専大松戸 0000020 =2
健大高崎 1111311×=9
(7回コールド)

(写真・取材・文/樫本ゆき)


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