トレーニング

捻挫はクセになる?

2015.11.13

 捻挫というと頭に思い浮かぶのは足首のケガではないでしょうか。経験したことがある選手も多いであろうこの捻挫。実は捻挫そのものはケガの状態を示すものではなく「ひねる」「くじく」という動作そのもののことを指します。同様に突き指という言葉も「指を突いた」という結果を示すものであり、ケガの状態は事例ごとに変わってきます。

 足首をひねった例を考えてみましょう。
 いわゆる「捻挫」と呼ばれる状態ですが、これによって何が痛んでしまったかを確認する必要があります。軽度の捻挫であれば応急処置の基本であるRICE処置(R…REST 患部の安静、I…ICING 冷却、C…COMPRESSION 圧迫 E…ELEVATION 患部を心臓よりも高く挙げる)を行い様子をみますが、痛みや腫れが続き、内出血などがみられる場合はすみやかに医療機関を受診することが大切です。

 捻挫によってどの組織が痛んだのかというのは、問診をはじめ触診やレントゲン、その他必要に応じた検査によって確認されます。一番なじみのあるものとしては足関節の靱帯損傷ではないでしょうか。足関節を構成する骨はさまざま靱帯によって固定されていますが、この一部が切れてしまったり、ゆるんで機能を果たさなくなってしまうことで、痛みを伴ったり、歩行に支障が出る状態となってしまったりします。
 その他には足関節を構成する骨の一部が欠けてしまったり、骨折を伴っているケースや、足関節を支える腱がズレてしまったり(脱臼)、筋肉そのものを痛めている場合もあります。捻挫という言葉だけではケガの状態を詳細に知ることはむずかしいと考えられます。

 何度も捻挫を繰り返してしまう、いわゆる「クセになる」と言われている原因の一つには、ケガの初期対応が不十分であることが考えられます。ケガをしてしばらくすると痛みや腫れは落ち着くことが多いのですが、この段階ではまだまだ傷んだ組織は正常な状態になっていないことがほとんどです。患部を安静に保つことが優先される期間中にも関わらず、痛みや腫れがひいたからといって患部を積極的に動かしてしまうと、痛んだ靱帯にはさらに物理的なストレスがかかってしまいます。これが繰り返されると靱帯のもつ関節を固定する機能が十分に回復せず、少しの衝撃でまた同じように捻挫を繰り返してしまうといったことが起こります。

 再発予防のためには患部の十分な安静と、回復期での筋力強化、バランス能力や柔軟性の評価と改善などが必要となってきます。病院を受診する際には「自分でやっていいこと」と「やってはいけないこと」を確認し、患部の状態をチェックしながらリハビリを行うようにしましょう。

  捻挫はひねって、くじくこと。クセにならないためにも適切な対応を




   



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