トレーニング

制球力を向上させるための投球動作改善(20)

2015.11.12

 こんにちは。リトルロックハートの大友です。
 連載20回目となる今回のK君のコーチングは、肘の高さをテーマに進めていきました。もちろんご存知だと思いますが、投球時の肘は下がってはいけません。そしてこれは意外と知らない方も多いかもしれませんが、上がり過ぎても、肘下がり同様に良くないのです。

 K君の場合はオーバーハンドスローで投げていた以前は、肘が高く上がり過ぎていることがありました。サイドハンドスローに転向した現在は、やや下がり気味の状態にあります。完全に下がっているというほど下がっているわけではないのですが、もっとパフォーマンスをアップさせていくために、今回は非常に細かいところをチェックしていきました。

 そもそも肘が下がるとは、具体的にどのような状態のことかご存知でしょうか。まずこれを適切に知っていなければ、肘の高さを評価することは絶対にできません。と言ってもまったく難しくはありません。一言で言えば、肩ー肩ー肘の3点を結んだラインが一直線になっているかどうかなのです。

 肩ー肩ー肘のラインから、肘だけが下がってしまっている状態であれば、肘が下がっているという評価になります。そして基本的にはこのラインは、トップポジション〜ボールリリースの間で一直線にしておく必要があります。

  肩ー肩ー肘から、肘だけが下がってしまっている形
  肩ー肩ー肘のラインが一直線のボールリリース
  肘が高く上がり過ぎている形


 テイクバックで慣性を使えない投手の場合は、テイクバックを腕そのものを動かして作っていくため、テイクバックの時点ですでに肩ー肩ー肘のラインが一直線になっていることもあります。しかし肘を早く上げ過ぎてしまうと肩関節の内旋・外旋に支障をきたす場合もありますので、テイクバックはできれば適切に慣性を使い、まるで振り子動作のようにテイクバックからトップポジションを作っていくことが望ましいと思います。

 肘が下がっている投手を見つけた時に「もっと肘を上げろ!」と声をかけてしまっている方をよく見かけますが、これはNGです。と言いますのは、肘を上げるようにと言ってしまうと、肩ー肩ー肘のラインが一直線ではなく、肘だけが高く上がり過ぎてしまうからです。「肘を上げろ」と言われれば、素直な選手たちはその指示に本当に素直に従ってしまいます。すると適切な位置を通り過ぎ、高く上げ過ぎてしまうようになるのです。

 肘は下がっていても上がっていてもパフォーマンスは低下しますし、逆に故障のリスクを引き上げてしまいます。投手の肘が下がってきた時はすぐに交代を告げるか、もしくは重心を下げることにより相対的に肘の高さを適切な位置まで戻していくようにアドバイスをしてあげてください。「もっと肘を高く上げろ!」というアドバイスは絶対に避けるべきだとわたしは考えています。

 K君もサイドハンドスローとしてはまだまだ重心が高いため、肘が下がりやすい傾向にあります。そのためしっかりと重心を下げていくことを癖付け、その結果肘が下がらない形を今回はアドバイスしていきました。




  



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