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本塁打王「中村剛也」が挑む、意外な「開幕一軍」

2015.3.12

 球界を代表するホームランバッターで「おかわり君」の愛称で親しまれている埼玉西武ライオンズの中村剛也選手。昨シーズンは34本塁打で、2年ぶり5度目となるパ・リーグ最多本塁打のタイトルをチームメイトのエルネスト・メヒア選手と分け合った。また、2年ぶりのベストナインにも初の指名打者部門で選ばれた。その一方、2年連続で開幕出場は叶わず、チームは5年ぶりにクライマックスシリーズ出場を逃す5位と低迷。チームの優勝に貢献できず悔しい思いをした中村選手が今シーズンにかける意気込みを語ってくれた。


タイトル獲得するも満足のいく数字ではない

 「ここ2シーズン続けて、ケガの影響で開幕戦に出場できなかった。ケガさえしなければ、もっと結果を出せると思います」と語る中村選手。2013年シーズンは、前年に受けた左ひざ手術の影響により出場は26試合。また、昨シーズンは背中の張りにより開幕一軍を逃した。その後、4月下旬には一軍合流を果たし、8月には月間10本塁打をマークするなど、調子を上げ、本塁打王とベストナインの2冠を獲得。

 「タイトルを獲れたということはうれしいのですが、数字的には良くなかった。僕の方がメヒア選手に比べて試合数も多く(5試合)、打席数も多かった(16打席)のに、一緒の本数だったことには満足していません」と語った。過去4度の本塁打王のうち、3度は40本を超える本塁打数でタイトルを獲得した中村選手にとって「開幕一軍」出場は、自身の結果だけではなく、チームの結果にも大きな影響を与えるという意識があらわれている。


「力を抜いていく」感覚を大切にするバッティング理論

 キャンプ中のフリーバッティングを見ていて感じた遠くへ飛ばす力の凄さについて聞くと、「飛ばす感覚とは芯で打つこと」と語る中村選手。「ポイントは、下半身から力を出し始めて、その力を上半身に伝え、それをバットに伝える。効率よく、ロスなく伝えるという意識。下半身全部に溜めた力を伝える感じ。このポイントを今でも完全につかめているわけではないのですが、2008年の途中からちょっとずつできるようになってきました」と語るように、今もなお成長途中である中村選手のスイングが理想のものとなったとき、そのバットはチームやファンを最高の結果へと導いてくれるだろう。


最多本塁打のタイトルを引き寄せた最終打席

 昨シーズンのチーム最終戦、東北楽天ゴールデンイーグルス戦。3点差を追いかける8回表ノーアウトランナー1・3塁の場面に代打で登場した中村選手は、初球のストレートを完璧にとらえ、右中間スタンドへ3ランホームランを放ち、本塁打王となった。理想的なスイングができたこの一打について中村選手は「ランナー1・3塁のチャンスだったので本塁打という意識はそこまでなくて、しっかり集中して点をとれればと思って打席に入ったら本塁打になった。打った瞬間、『あっ、打っちゃった!!』って(笑)」。本人はたまたまだと言うが、今シーズンにつながるいい結果で終えたことで多いに実りのある打席となった。

 「最終的に理想のスイングへ到達することが自分の仕事ですが、キャンプではそこを考えずにしっかり振ることを意識しています。バッティング練習では今できる目一杯の力で振り始めて、徐々に力を抜きながらも飛距離を出していく感覚。そんな体の使い方が自然とできるまで振り込んでいき、理想のスイングに近づけるといった感じですね」と、数多くのアーチを描いてきて13年目の今シーズン。開幕一軍に挑む中村選手の調整は万全だ。


チームの優勝へ「リベンジ」を果たす

 「僕はあまり『リベンジ』という言葉が好きじゃないんですが、やはり昨シーズンはいろいろと悔しかったし、チームとして優勝争いをしないとダメだと思うので、しっかり『リベンジ』を果たしたいと思います。個人的な目標としては、自分はケガが多いので、何とかケガをせずにシーズンを戦い抜きたいですね」と、3年ぶりの開幕一軍を果たし、2008年シーズン以来遠ざかっているリーグ優勝・日本一の栄冠を再び味わいたいという想いが、球界を代表するホームランアーティスト「中村剛也」を突き動かしている。

中村剛也(なかむらたけや) 1983年8月15日生まれ。大阪府出身。身長175cm 、体重102kg。右投右打。内野手。2002年に大阪桐蔭高校から西武ライオンズ(現埼玉西武ライオンズ)に入団。スタンドに美しいアーチを描く右の長距離砲。昨シーズンはケガに悩まされながらも、自身5度目の本塁打王を獲得。チーム最多の90打点を挙げ、主砲としての役割を果たした。


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