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【福井工大福井】大阪桐蔭OBの監督、コーチが重視するのは「積み重ね」(後編)

2019.5.14

「春季北信越地区高校野球福井県大会」決勝で敦賀気比を6-4で破り見事に優勝を飾った福井工大福井。そんなチームのグラウンドを大会直前の4月に取材しました。


普段の練習メニューはいたってシンプルだ。ランニング、各自アップのちキャッチボールと続く流れは、どこか大阪桐蔭と似ている。もちろんベースになっている部分はあるが「人数のことを考えると、(大阪桐蔭と)同じは厳しいですね。フリーバッティングをするよりも実戦形式の練習を多めにやるとか、工夫しないと全員が思うような練習ができない。コーチになった頃はまずそこを優先に考えて練習メニューを考えました」(田中監督)。

この日はケースバッティングを行い、様々な場面を想定しながらバットを振る。19時前に、全体練習は一旦終わるが、ここからは自主練習。寮生活の選手は夕食と風呂に入る最終時間ギリギリまで汗を流し、みっちりと自分の課題に向き合う。

キャッチボールで重視するのは“回転”だ。「投げる方向にしっかり向いて縦回転の強いボールを投げられるか。そこにフォームを合わせていく。フォームを矯正するというより、毎日の練習の中で、自分で考えながら意識して投げられるようにしていく。こちらが投げ方から何もかもとやかく言うと、考えすぎてイップスになってしまうこともありますから」と田中監督は話す。

悪送球をしてしまうと、どうしてもちゃんと投げよう、投げようと慎重になりすぎて、かえって正確なボールが投げられなくなってしまうこともある。そのため、毎日の練習で自分に何が最良なのかを考えて投げ、頭の中、体にインプットさせる。そうすれば、いざミスをしてしまっても普段はどんな投げ方できちんと投げられていたのか甦らせることができる。そう簡単にはいかない場合もあるだろうが、自分で感じさせ、考えながらどう克服できるか。田中監督は選手自身の思考を“自立”させる指導を徹底している。



昨秋は福井県大会で優勝。県内では常に上位に進出し、16年、17年には2年連続でセンバツに出場している。だが「(春秋の)北信越大会は出させてもらっていますけど、夏は最近は早くに負けてしまってばかりですよ」と田中監督は苦笑いする。
福井県は加盟学校数こそ30数校だが、敦賀気比や北陸、啓新などの私学強豪や福井商などの古豪、坂井、金津などの実力のある公立校をはじめ、全国的には無名でも好投手を擁した公立校が席巻する大会でもある。参加校数が少なくても、レベルは決して低くない。
「福井の大会は大阪でいうとベスト8位からの戦いのようなイメージがあります。大阪は初戦が終わると次の試合までの期間が空くので修正する時間があるんですけれど、福井はそれがないんです。初戦で調子を崩すと、その状態のまま上まで行ってしまうこともある。1週間から9日間くらいで(甲子園に行けるかが)決まってしまうので、ベストな状態をどれだけ持って初戦から一気にいけるかです。反対に初戦から少しでも歯車が噛み合わないと大敗することもある。昨夏の県大会がまさにそれでした(2回戦で敦賀気比に0−10のコールド敗退)」。


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