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【変化球特集】山本昌さんに聞く!変化球が活きるワザ

2019.4.11

フォームによって投げやすいボールは異なる


−−変化球をマスターするうえで注意するポイントはありますか?
自分のフォームに合うボールを投げた方がいいですね。例えばカーブは投げる側と反対の腰とリリースポイントが遠くないとなかなか曲がらないと思いますけど、フォームを直してまで投げる必要はないと思います。フォークもそうですね。落差のあるボールを投げやすいフォーム、投げづらいフォームというのはありますね。反対に肘が先に出てリリースが腰から近いようなピッチャーは鋭い横の変化球の方が投げやすいと思います。

−−スクリューは昌さんにとってフォームに合っていた変化球になりますか?
自分の場合は指も長くなくて握力も落ちやすいのでフォークは厳しかった。抜いて投げるチェンジアップよりも回転をかけたスクリューの方がコントロールしやすかったですね。

優先順位をつけて頼れるボールを磨くべき

−−最近は高校生でも多くの変化球を投げる投手が多いですが、昌さんはどう思われますか?
いろいろ試すのは良いことだと思います。投げるうえで大事なのは、自分のなかで優先順位を決めておくこと。ピンチのときに頼れるボールはストレートのほかに、二つあればいいかな、と。頼れるボールというのは試合のなかで投げて身につけていくものですから、球種が多くなるとどれも平均化してしまって、何に頼ったらいいか迷いが生じてきます。楽な場面で目先を変えるためにいろんなボールを投げるのはいいかもしれませんけど、頼れるボールに磨きをかけることが重要だと思います。

−−変化球を練習している高校生にアドバイスをお願いします。
自分はブルペンでは8割以上はストレートを投げこんでいました。スピードがなかったのでコントロールを重視して狙ったところに投げないといけなかったんです。まずは両サイドにしっかりストレートを投げられるようになってから変化球を投げ込んでいました。ストレート、変化球どちらも狙ったところでしっかりストライクをとることが大事。ボールの握りを早く身体に覚えさせたいなら、普段からボールを握っておくことがおすすめ。どんな変化球が自分のフォームに合っているのか、探していくといいと思います。


山本昌's 変化球メモ

(1)スライダーを投げるのは簡単だが気をつけて投げる
(2)フォームに合った変化球を見つける
(3)投げる変化球に優先順位をつける



山本 昌 Masa Yamamoto

神奈川県出身。1983年秋のドラフト5位で中日に入団。88年8月にプロ初勝利をあげた。最多勝3回、最優秀防御率、沢村賞など数々の賞を受賞し、ノーヒットノーランも達成。15年10月に引退。通算成績は219勝165敗5セーブ、防御率3.45。主な著書に『ピッチングマニア(学研プラス)』がある

(取材・文=西尾典文/写真=小沢朋範)
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