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【明治神宮大会】注目選手と大会総括

2018.11.20

「Timely!web」でもおなじみ、さすらいのアマチュア野球ウオッチャーの西尾さんが神宮大会全試合を観戦!注目の選手達の評価と大会総括をして頂きました。


飛び抜けた存在感を示した星稜の奥川

今大会、投手、野手を通じて最も素晴らしいパフォーマンスを見せた選手となると、星稜のエース奥川恭伸になるだろう。夏の甲子園では最速150キロをマークしながらも、リズムが単調でタイミングを合わせやすい印象が強かったが、この秋はフォームが明らかにゆったりしており、軸足にためを作れるようになったことが大きい。今大会の最速は149キロと大台には届かなかったが、コンスタントに145キロ前後をマークするストレートは数字に見合う威力がある。そしてストレート以上に成長が見られたのが変化球だ。120キロ台中盤のスライダーは少し変化は大きいものの腕を振って投げられるため、打者はボール球も思わず手が出る。更に夏には投げていなかったフォークも130キロ台のスピードがあり、ストレートと同じ軌道から鋭く落ちる必殺のボールだ。
決勝戦では先発を譲り惜しくも優勝は逃したものの、3試合で15回1/3を投げて被安打7、1失点(自責点0)、2四球、26奪三振と圧巻のピッチングだった。ステップの幅が狭く、少し上半身の力に頼ったフォームなのは気になるものの、総合力では間違いなく高校生トップクラス。順調にいけば来年のドラフトでも上位候補になることは間違いないだろう。


高校から直接プロ入りを狙えるという意味で太鼓判を押せるのは奥川だけだったが、それ以外にも将来が楽しみな選手は少なくなかった。下級生の頃から大器と評判なのが石川昂弥(東邦・三塁手兼投手)。

この秋からはチーム事情で背番号1を背負い、今大会でも140キロを超えるスピードをマークしたが、将来性を考えるとやはり野手で育てたい。大きな構えで懐が広く、強靭なリストで広角に長打を放つことができるのが長所。ステップが淡泊で踏み込みに強さがなく、外のボールに対して腰が引けるのは課題だが、芯でとらえた時の打球の迫力は申し分ない。大型だがフィールディングの動きが良いのも長所。春以降は野手に専念してもらいたいと思っているスカウトは多いだろう。

下級生の頃から石川と三遊間を組む熊田任洋(東邦・遊撃手)も三拍子揃った選手。出足が鋭く、打球に向かうスピードは他の選手とはワンランクレベルが違う印象を受ける。送球にも強さがあり、スナップスローも上手い。鋭く体を回転させて強く引っ張るバッティングも光る。

同じショートでは武岡龍生(八戸学院光星)も好素材。少しタイミングの取り方は無駄があるものの、踏み込みがしっかりしており下半身の強さを感じるスイングが長所。守備も捕球、送球の形の良さが目立ち、攻守に安定したプレーが光った。


捕手では奥川とバッテリーを組み、旧チームから中心の山瀬慎之助(星稜)がさすがのスローイングを見せた。地肩の強さだけでなく、フットワークを使って投げられるのも大きな長所。ただ新チームになってから不振の打撃は課題。タイミングの取り方に迷いが見られ、変化球を呼び込むことができていなかった。


山瀬以外で目立ったのが進藤勇也(筑陽学園)だ。捕手らしいたくましい体格で、コンスタントに2.0秒を切るセカンド送球は迫力十分。全体的にプレーに丁寧さが出てくれば、更に注目される存在になるだろう。

外野手では東海林航介(星稜)、福岡大真(筑陽学園)の二人が目立った。東海林は夏の甲子園でも目立ったスピードが最大の武器。平凡な内野ゴロでも間一髪のタイミングになる走塁は高校生ではトップクラスだ。秋はバッティングの調子を落としておりスイングが小さくなっていたのは気になったが、準決勝では一発を放ち長打力があるところを見せた。福岡も打順は6番だが、無駄のない鋭いスイングが光る強打者。ヘッドの走りが良く、軽く振っているようでも打球が速い。ライトから見せる強肩も持ち味だ。

投手は奥川が完全に頭一つ抜けていた印象だが、将来性という意味では西原健太(札幌大谷)が目立った。184cm、90kgという堂々とした体格で、数字以上に威力を感じるストレートが持ち味。無駄な動きがなく、ある程度コーナーに投げ分ける制球力も備えている。北海道大会では早々に降板する場面も見られたが、今大会は終始安定感のあるピッチングだった。フォームに躍動感が出てきて、スピードも常時140キロ台をマークするようになると、スカウトの評価も上がってくるだろう。

中国大会で西純矢(創志学園)に投げ勝った河野佳(広陵)もリリーフでわずかなイニングの登板に終わったが、最速145キロをマークして素質の片鱗を見せた。上背はないが、下半身の強さを感じるフォームで、粘り強いピッチングが持ち味。選抜では更に成長した姿を見せてくれることを期待したい。

最後に大会全体の総括だが、やはり初出場初優勝を飾った札幌大谷が最大のサプライズだった。見事だったのが一人に頼らない投手起用と、チャンスを逃さない集中打だ。エースの西原は初戦と決勝戦に先発したが、2回戦では2回から登板した1年生の増田大貴が好リリーフし、準決勝では背番号17の太田流星が8回までノーヒットという快投を見せた。打線も決勝戦以外の3試合は初回に先制点を挙げて、常にリードする展開を作ることができていた。北海道大会の準決勝で見た時はまさかここまで勝ち進むとは思わず、改めて高校生の成長速度には本当に驚かされる。今大会では良さが発揮できなかったチームもその悔しさをばねにして、選抜では驚くような成長を見せてくれることを期待したい。(文・写真:西尾典文)

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