トレーニング

キャッチャー特有のケガを考える ~前編~

2015.6.23

 野球においてキャッチャーというポジションは「守備の要」です。他の野手とは違って一人だけ逆方向を向き、グランド全体を見渡せる位置に座り、ピッチャーをリードし、ホームを守り、内野手・外野手の連携指示を出し…とその役割は多岐にわたります。バッターボックスに近く、ホームでのクロスプレーなどで相手選手やボールに当たることなども多く、ケガを予防するためにキャッチャーは専用のプロテクターをつけて防御します。

 キャッチャーによくみられるケガとしてまず挙げられるのが、突発的に起こる急性外傷です。ピッチャーの投げたボールや打者のファウルチップが直接もしくはワンバウンドしてあたるケースや、捕球時の突き指などはよくみられるケガです。またホーム上でのクロスプレーによってランナーと接触して打撲するケースや、相手ランナーのスパイクが体に接触してしまい、流血してしまうといったことも起こります。一般的に野球はスポーツ外傷の少ないノンコンタクト(非接触型)スポーツと言われていますが、キャッチャーだけは例外的にコンタクトによる急性外傷が多いポジションと言えるでしょう。

 そして急性外傷のみならず、繰り返し動作によって起こる慢性のスポーツ障害が多いのもこのポジションの特徴です。中腰の姿勢でボールを捕球し、ランナーが出たら盗塁をされないように常に腰を浮かしつつ、相手を牽制しなければなりません。短時間であれば問題ありませんが、野球の試合で約半分の時間はこうした中腰の姿勢を余儀なくされるため、筋肉の疲労による筋筋膜性腰痛や膝・股関節の痛みといったことも他のポジションよりも起こりやすいと考えられます。そして毎回ピッチャーに返球する投球動作にくわえ、盗塁を刺すためのスローイング、牽制といったものにも対応しなければならず、肩や肘への負担もピッチャー同様かなり大きいと考えられます。投球後のコンディショニングとしてアイシングやトレーニングを行うことは、ピッチャーだけのではなくキャッチャーにもぜひ習慣としてもらいたいものです。

キャッチャーは急性外傷を起こしやすいポジション特性がある




  



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