第7回は、ストッパー毒島(作:ハロルド作石)。1996年から週刊ヤングマガジンで連載され、破天荒な左の剛腕投手、毒島大広が守護神(ストッパー)としてパ・リーグの弱小球団・京浜アスレチックスで活躍する姿を描いた作品。
MLBオークランド・アスレチックスのユニホームに似た京浜アスレチックスの本拠地・駒沢フィールドは、日本一の収容人数を誇るメジャー式の球場。故障で打者としては伸び悩みながらも、ナックルを取得して投手に転向したウェイク国吉、ライバルとして登場する菅野純(オリックス)は、サッカー日本代表候補にもなった二刀流投手など、日本が舞台だが、MLB的な雰囲気が随所に描かれていた。
練習する姿を他人に見せるのを極端に嫌う守備のスペシャリスト三条洋二。「んああ」が口癖で、どこか抜けた表情を持つホームラン・アーチストの火野勝、元暴走族のリーダーで茶髪リーゼントでプレーする本上博史。チームのマスコット「チックくん」は不愛想で不人気と同僚も個性的だった。
巨人の2軍から近鉄に移籍し一気にブレークしたフィッシュバーン、ロッテには大広の実兄・貴志などライバルも魅力的な打者が多く、当時の王貞治監督(ダイエー)仰木彬監督(オリックス)や佐々木恭介監督(近鉄)、イチロー(オリックス)なども登場している。
1シーズンの毒島の成長を描く作品で、優勝を争うシーズン後半に向けての盛り上がり部分は、一気に読み切れる。漫画のコマ割りも大きく、これまで紹介してきた野球漫画とは少し雰囲気の違った作風となっている。粗削りな毒島をリードする先輩捕手・佐世保仁が、重要な試合で本塁打を放った後の立ち姿は、本当にカッコいい!!
【講談社】
ストッパー毒島